訪問看護師との連携で感じた“認識の差”とは

皮膚・排泄ケア認定看護師鈴木華代さん

藤田保健衛生大学 坂文種報德會病院は、「ばんたねさん」の愛称で長年親しまれている地域中核病院です。地域包括ケアの実現に向けて、積極的に在宅ケアとの連携を図っています。同院でストーマ外来を開設している皮膚・排泄ケア認定看護師の鈴木華代(すずきはなよ)さんは、ストーマを造設した患者さんのケアや指導を行い、ときにはQOL向上のために患者さんの相談にも乗っています。

訪問看護師との連携を進める上で重要なことは「情報の共有化」ですが、鈴木さんは「病院看護師の私たちと訪問看護師との間で、同じ認識のもとで患者さんにケアが行われているかどうかが気がかりでした。というのも、例えば評価スケールでストーマケアの際に使用するABCD-Stoma®、褥瘡の際に使用するDESIGN-R®などがありますが、訪問看護ステーションから電話相談を受けて評価してみると、患者さんの状態に対する認識の差がしばしばあったからです」と言います。

具体的な例としては、ストーマ周辺のびらんと聞いていたものが、実際に評価してみると紅斑や色素沈着だったこと、「下痢がひどくて肛門周囲に褥瘡ができました」と言われたものが、実はIAD(incontinence associated dermatitis:失禁関連皮膚炎)であったというようなことがあるといいます。「情報共有がスムーズに進まないのは、私たち病院看護師がベースにしている情報と、訪問看護師の情報が食い違っているからではないかと思いました」と鈴木さんは言います。

“訪問看護師における情報リテラシー”を調査して

そこで、鈴木さんは、訪問看護師を対象に“情報リテラシー”に関する調査を行いました。情報リテラシーとは、「情報技術を使いこなす能力」「情報を読み解き活用する能力」のことを言います。この調査は、県委託の訪問看護師ブラッシュアップ研修公開講座参加者で、訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師76名に対して行い、66名の有効回答を得ました。この調査で鈴木さんが特に聞きたかったことは、インターネットの情報サイトをどの程度活用しているかということでした。「訪問看護師の患者さんをよくしたいという思いはとても強く、仕事の合間を縫って本や雑誌、学会などでさまざまな情報を得ているのは病院看護師と同様だと思ったのです。訪問看護の場では、病院の看護師と比べて比較的インターネットへのアクセスが多いのではないかと思い、その利用はどのくらいかということに関心がありました」と鈴木さんは言います。

調査の結果、在宅訪問に従事後、ストーマや創傷・褥瘡に関する情報サイト等を活用したかという問いに、情報サイトの存在を「はじめて聞いた」と答えたのは49名(75%)、「活用している」と答えたのはわずか3名(5%)でした(図1)。

「この結果は、私にとってちょっと意外なものでした。訪問看護師は、ストーマケアや褥瘡ケアについて知りたいという気持ちはあるようなのですが(表1)、情報サイトはほとんど活用されていないのですね。でも、病院と在宅との架け橋となる訪問看護師こそ、正確で新しい情報を得るためにもインターネットの情報サイトを有効に活用し、患者さんのケアに活かしていただきたいと思います」と鈴木さん。

図1 訪問看護師における情報リテラシー調査(n=66)

表1 訪問看護師が皮膚・排泄ケア分野で知りたい情報(n=22)

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“信頼できる情報”を活用し、さらに広めてもらうために

医療・ケアのポータルサイト“アルメディアWEB”について、鈴木さんは「ストーマケアに関するコーナーと創傷ケア関するコーナーの2つに分かれ、それぞれ専門性が高くエビデンスに基づいたもの、さらにはエキスパートの実践例など、内容が豊富です。何より信頼できるというのが一番ですね。インターネット上の情報は本当に玉石混淆ですから、専門職の私たちが活用できる質のものであることが必須条件です」と言います。
また、同サイト内のストーマ保有者に向けた情報ページ“ストーマ・ライフ”について、「ストーマの種類やケアの方法、日常生活を快適に送るためのポイントなどが、わかりやすく示されています。訪問看護師にはぜひこういった情報サイトを、在宅の現場から患者さんとそのご家族へと広めていっていただれければ思います」と鈴木さんは言います(図2)。

スマートフォンやタブレットの普及により、誰もが簡単にインターネットにアクセスすることができるようになった今、現場で活用できる質の高い情報は必ず役立つはずです。

図2 情報サイトの認知度、活用度を上げるために

〈引用文献〉
鈴木華代,荒川敏:情報リテラシーに関するA県内訪問看護師の意識調査.日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌2017,33(1):209.より一部改変引用

※本記事は、エキスパートナース2017年9月号にも掲載されています。

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