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公開日:2020/4/28
アルケア株式会社
経鼻カテーテル専用の固定補助テープ「クイックフィックス®・N」は、看護手技の標準化や省力化を実現する商品として、多くのご施設でご愛顧いただいています。
今回は、国際的な医療機能評価(JCI認定、マグネット認証)を取得している聖路加国際病院にて、医療の質の向上に日々に奔走されている医療安全管理室ナースマネジャーと皮膚・排泄ケア認定看護師のお二人に医療安全とスキンケアの観点から「クイックフィックス®・N」の魅力をお話いただきました。
経鼻カテーテルの特性として鼻翼にあたる部分のスキントラブルが発生しやすい
従来のテープは手技にばらつきが出てしまい 標準化できていなかった
患者への負担を軽減
経鼻カテーテル固定用にあらかじめカットされているため看護の標準化に繋がる
黒木:
経鼻カテーテルの場合、鼻孔という限られたスペースへの挿入となり、固定を行う顔の皮膚はデリケートです。そのため固定の際は、他部位とは異なる専門的な機能が求められますね。
笠井:
例えば、栄養系よりチューブが太い排液系の方が、圧迫によるスキントラブル発生のリスクが高く、太い分カテーテルが鼻翼に触れやすいという理由です。
黒木:
鼻翼への圧迫だけでなく、チューブが直接皮膚に触れることもスキントラブルの原因になります。テープの扱い方、固定の方法などちょっとした手技のばらつきで看護の質に差がでてしまいます。患者さん自身、鼻に違和感や痛みがあっても「(経鼻カテーテルとは)そういうもの」と思って医師や看護師に言えなかった、というケースもあります。元の傷病の痛みに加えスキントラブルによる痛みを負わせないためにも、適切に固定する必要があると感じます。
笠井:
クイックフィックス・Nのような部位に特化した製品を使用する前は、サージカルテープが一般的でした。汎用性が高く低価格というメリットはあるものの、部位にあわせてハサミなどでカットして形状を整える必要がありました。固定・交換のタイミングでカットするのでは間に合わないので、部位によって想定される形状のテープをあらかじめ切りおきすることが多かったです。カットの方法・手順等は、先輩看護師の見よう見まねです。部署によっては型紙もあったと思いますが、複雑な形状の場合、看護師によって質に差が出ることもありました。カットのための時間を確保するのも簡単ではありません。わずかな空き時間を見つけては試行錯誤しながらカット、という、手間と時間のかかる作業でした。
黒木:
自分たちでカットしたものは手間がかかっているにも関わらず、使い勝手はさほど良くありませんでしたね。いざ使用しようとしたら、グローブ(医療用手袋)に張り付いてグチャグチャになり使えなくなることもあったので、そのロス分も見越して数を作る必要がありました。
笠井:
そうですね。患者さんの状態にあわせてカテーテル固定を行うので、固定方法がバラつき、マニュアルが作りにくい課題がありました。標準化が容易であれば、事故の発生率もある程度想定がつき、安全管理面のコントロールも進むのですが…。
中でも経鼻カテーテルは、鼻尖から鼻翼という極めて限られたスペースでの固定です。そのため、看護師の経験・スキルによる差が出やすいです。固定が難しいということは作業する看護師のストレスも溜まりやすく、いわば「看護師泣かせ」の部位ですね。経鼻カテーテルの安定した固定・標準化は、看護手技における懸案事項の一つでした。
黒木:
標準化できれば、看護師の経験・スキルを問わないカテーテル固定ができ、準備・固定・観察・交換などの効率化、省力化への後押しも期待できますよね。
笠井:
アルケア社製の経鼻カテーテル専用固定補助テープ「クイックフィックス・N」は、経鼻カテーテルに特化した形状に整っているので、テープカットの必要がなく、すぐ使えるところが画期的でした。準備不要で固定・交換が行えるので、標準化、省力化ができていると思います。
黒木:
鼻へのカテーテル固定は、患者さんの状況にあわせた調整が大切です。クイックフィックス・Nは、二股に別れた片方が固定する役割、もう片方がカテーテル位置を調整する役割と分かりやすい作りなので、操作性がいいなと思います。凹みがあるのもいいですね。「鼻翼部分にあわせる凹み」(★1)と「カテーテルを誘導する凹み」(★2)があるので、そこを基準に配置できる。カテーテルが鼻翼に当たらないよう調整もしやすいので、スキンケアトラブルの発生抑止にも繋がると思います。先日、経験の浅い看護師がクイックフィックス・Nを使用する様子を見る機会があって、とてもスムーズに装着できていたので、色々と考えられている商品だと感じました。
笠井:
グローブや皮膚に粘着剤が残り難いところもいいですね。
黒木:
そうですね。一般的な粘着力の強いテープは、剥がれ難いメリットがあるものの、グローブに付いたり皮膚に粘着剤が残ってしまう場合があります。テープ剥離後に、皮膚に残った粘着剤を除去しなくてはならず、追加の作業と時間が発生してしまいます。患者さんの皮膚の負担も気になりますね。また、伸縮性が強いテープの場合は、皮膚がひっぱられてしまわないよう配慮が必要です。クイックフィックス・Nは伸縮性がなく、ほどよい粘着力なので、皮膚にやさしい製品と感じます。
笠井:
患者さんが快適であれば患者さん関与の事故抜去は起こり難くなりますし、テープの貼り替えが楽なので適宜固定しなおすことで事故抜去が防げます。クイックフィックス・Nの導入は、固定方法を原因とした事故抜去件数の減少が見込めると感じます。
黒木:
標準化に繋がることも大きなメリットです。まず鼻に貼り付ける、カテーテルを固定する、カテーテルの位置を調整し鼻に固定する、といった三段階の作業が剥離紙のガイドにも記されている。作業がわかりやすく効率化され、看護の標準化が進みました。
笠井:
スムーズに失敗なく使えることは患者さんへの負担はもちろん、コストダウンの効果もありますね。看護師の作業時間短縮による人件費削減というメリットも見えてきます。QIセンターの看護師として、JCI基準でもある「患者安全・医療の質」は常に気になるところです。昨年末当院が認証されたマグネット認証プログラムも「看護の質」向上のための仕組みです。クイックフィックス・Nは、今当院が力を入れているそれら取り組みに貢献してくれる、頼れる製品です。
聖路加国際病院は、「医療の質を高めるため、『根拠に基づいた医療』を実践する」という運営基本方針のもと、国際水準の医療提供を心がけています。2012年7月には国際的医療施設評価機関(JCI=Joint Commission International)による「JCI認定」を取得、以後「患者安全・医療の質重視」「安全で能率的な職場環境」などの厳しい基準をクリア、更新を続けています。また、2019年11月に、国内の医療機関としては初めてマグネット認証(米国看護認証センターが認定する卓越した看護サービスの認証)を取得しました。
JCI認定、マグネット認証ともに看護の標準化に関連が深い取り組みです。当院の看護部検討会でも、看護の標準化に向けての話し合いが常に持たれます。看護の質を高めるため、カテーテル等事故抜去防止策の標準化において役立つ製品の一つが、クイックフィックス・N。看護手技標準化・患者の負担軽減という観点からも、標準化にマッチした製品と考えられています。
マグネット認証(Magnet Recognition®)は、世界最大の看護の認証組織であるアメリカ看護師認証センター(The American Nurses Credentialing Center, ANCC)が、看護の卓越性を評価する厳しい基準を満たした医療機関を認証するものです。全米で6,300以上ある病院のうちマグネット認証取得は490、米国外では9か国12医療機関に留まります(2019年11月25日現在)。”マグネット”という名称は、1980年代の米国における看護師不足の中でも「磁石のように看護師を惹きつける」医療機関に共通する要素に由来するものです。下図・マグネット認証5つの柱に基づく審査項目に沿って書類審査が行われ、その後の実地審査を経て認証の可否が決まります。当院ではマグネット認証取得のためのチームを結成し、チーム一丸となりデータの収集・ベンチマークによる客観的評価に取り組み、取得を目指しました。看護師にとって魅力的で、看護師が生き生きと働き、患者にベストなケアを提供する病院は、患者にとっても信頼できる魅力的な病院です。認証取得という結果だけでなく、認証のためのプロセスによって引き出された当院の魅力を、看護師をはじめとした医療従事者、そして利用者の方々に伝えたい。マグネット認証の継続・維持を通じて、より一層の看護の質・医療の質向上を目指します。
監修:看護師 医療経営コンサルタント 田中 智恵子 先生
プレカット経鼻固定補助テープは、従来固定に使われてきたサージカルテープと比較し、どのような利点があるのか。固定にかかる時間の違いから、看護師の負担軽減によるメリットが見えてきた。
■看護師20名にサージカルテープ、クイックフィックス®・Nを用いた経鼻カテーテルのテープ固定所要時間を測定(2018年10月実施)
前提条件
■一週間で延べ50人の患者に経鼻カテーテル固定をした場合の費用の試算
■看護師20名の作業平均時間を算出(2018年10月実施)
■看護師平均時給は‘厚生労働省平成30年賃金構造基本統計調査’参照
■経験と関係なく固定することができる。
■経験の浅い看護師の苦手意識やストレス軽減への関与が考えられる。
■固定の質の安定化・標準化が期待できる。