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公開日:2024/6/12

足はブラシで洗う時代!?

~フットハイジーンを習慣に~

(※本記事は、「第4回日本フットケア・足病医学会年次学術集会 ランチョンセミナー2 足病医療の新時代を担うフットハイジーン」の内容の一部を再構成したものです。)

順天堂大学医学部附属順天堂医院
足の疾患センター


橘 優子 先生

なぜ「フットハイジーン(足の衛生)」が大切なのか

 「足はブラシで洗う時代」というテーマで、フットハイジーン(足の衛生)を中心に話をさせていただきます。
 まず「ハイジーン」という言葉ですが、これは健康を保つために体の衛生を保つ生活習慣のことです。一番身近なところのハイジーンとしては「オーラルハイジーン」、歯磨きがあります。私はここから着想を得て、健康な歩行のため、足の衛生を保つ生活習慣として「フットハイジーン」を掲げ、その取り組みに臨んできました(図1)。

図1 フットハイジーンとは

 私が「足を洗う」こと(足浴)に注目するようになった理由は、まず汚れていると足の状態がわからないということ、そして「汚れ」と「乾燥」を誤認している看護師が少なくないことからでした(図2)。また、患者さんで足を洗わない人が多く、白癬症をもっている人が非常に多かったこともあります。フットケア外来の現場でこれらのことに直面し、「足を洗う」こと(足浴)に注目するようになりました。

図2 「汚れ」が「乾燥」と誤認されることも多い

 私が所属している順天堂大学病院「足の疾患センター」では、膝以下の足部疾患を対象に、足病専門の総合医療を行っています。ただ日本の現状を見ると、縦割りの専門領域に分かれた医療が行われていることが多く、足を総合的にみるところはまだまだ少ない。このような医療体制のまま高齢社会が進んでいったら、高齢者の足や安全な歩行を守ることは難しいのではないかと思うのです。
 「歩行と寿命」に関する研究も行われていて、論文を読むと「歩けないと寿命が短くなる」「1日1時間以上歩ける人のほうが、予後がいい」「歩行速度が速いほど、ADLの自立度が高い、医療依存度が低い、転倒リスクが低い、社会性が高い」などといったデータが示されており、いかに歩行が大事であるかがわかります。安全な歩行のためには「歩ける足」の状態を維持することが必要であり、そのためには衛生的に足を保つこと(フットハイジーン)がとても重要になります。

足洗浄ブラシの効果の検証

 先ほど「足を洗わない人が多い」と言いましたが、腰痛や肥満といった理由から手が足に届かず、自分で足を洗うのが難しい人もいます。そのような人のために、背中を洗うブラシを足に転用できないかと考え、試みたのですが、ブラシが大きくて洗いづらかったんです。そこで「ライオン(株)」と共同で「足洗浄ブラシ(フットブラッシュライオン)」(図3)を開発しました。このブラシを実際に患者さんに使っていただき、4週間後に評価したところ(図4)、ほとんどの項目で改善がみられましたが、唯一「乾燥」において「悪化」が一部にみられました(図5)。これは「洗いすぎ」が原因だと考えます。しかし、今は優れた保湿剤もありますので、「洗うこと」と(保湿剤で)「補うこと」の両者で足を守っていけばよいのではないかと思っています。

図3 足洗浄ブラシ(フットブラッシュライオン)
図4 足洗浄ブラシでの洗浄効果を検証
図5 足洗浄ブラシの評価結果

 図6に、ブラシでの足洗浄に参加していただいた方のアンケート結果を示します。ブラシでの洗浄を継続したいと思う人が8割を超え、効果は約7割の人が感じると回答されています。
 図7は、高度肥満により手が届かず、足を洗うことができていなかった方の足の写真です。ブラシを使用していただき、4週間後に靴下を脱いでもらった時、足がとてもきれいになっていて感動しました。さらに8か月後も良い状態が保たれていました。しかも、きれいになっただけでなく、皮膚の色調もよく、指と指の間も広がっています。足を洗うことによって、このような副次効果が得られる可能性も考えられます。

図6 ブラシ洗浄参加者のアンケート結果
図7 高度肥満の方のブラシ洗浄後の足の状態

足病医療・ケアをより一層普及させるために

 足病医療が抱える課題を解決するには、口腔衛生が辿ってきた道が良いお手本になります。
 口腔衛生では、齲歯と歯周病でどんどん歯を失っていく歴史を経験しています。そのような中で歯ブラシが登場しますが、当初はなかなか普及しなかった。そのため全国民の半数もの人に対して、啓発活動を行ったそうです。それぐらいやらなければ一般化しないんですね。
 私たちは「フットケア学会」「下肢救済学会」を経て、「日本フットケア・足病医学会」として足の課題に取り組んでいますが、まだまだ道半ばと言わざるを得ません。これから足病医療を確立して、フットケアの啓発活動や、(歯ブラシが世の中に広まったように)足のケア製品を開発・販売し、浸透させていく必要があります。その戦略の一例としては、頭皮ブラシが参考になるのではないかと思っています。頭皮ブラシの場合、薄毛予防だけでなく、たるみ・シワなどのエイジング回避というように美容と結びつけて宣伝したところ、認知度が高まったそうです(図8)。足のケア製品を普及させる場合にも、足病という切り口だけでなく、あらゆる方面から「足をきれいにすることがあなたのためになる」とメッセージを発信していくことが大事だと思います(図9)。あるいは高齢者は「健康」にとても敏感ですから、健康という切り口で、「足を大事にする」ことを伝えるのもよいかもしれません。
 今後はSNSを含め、さまざまなメディア活動を行ったり、新しいブラシや関連製品などを増やしていき、市場をにぎわせていきたいと思っています。

図8 頭皮ブラシの次は足ブラシの時代がくる!?
図9 あらゆる方面から「足を大切に」のメッセージを発信

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