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公開日:2026/5/20
日本シグマックス株式会社
初めまして。訪問看護ステーションおひさまの西川貴子と申します。
私は、看護の仕事が大好きです。看護ケアといえば、排泄ケア、スキンケア、口腔ケア、摂食ケアなどの療養の世話や点滴などの診療の補助といった行為を想像されるのではないでしょうか。
病院なら患者様、訪問看護ならご利用者様とお呼びする方達は、当然の事ながら「人」です。訪問看護では、その「人」の人生史や価値観、思いやり、喜び、怒りといった感情に触れながら接しています。以前から私は、そのような「人」と接する瞬間に、私がこうして看護ケアを提供している事の意味を深く考えます。特に急性期病院に勤務していた時より、訪問看護の現場で在宅療養されている「人」に接するようになってから、その思いは強く感じるようになりました。
出来るだけ住み慣れたご自宅で穏やかに過ごしてもらいたいという思い、ご本人の希望が叶う療養環境を提供したいという気持ち。ご家族の負担が軽減できる排泄ケアを提供したい、点滴はできるだけ失敗なく穿刺したい、訪問診療医師の指示を忠実に遂行したいなど。そのような希望を叶えてくれる看護ケアのアイテムはたくさん存在しますが、そのうちの一つにポケットエコーがあります。ポケットエコーは看護ケアに革命をおこすツールで、基本的な使い方を覚えれば日常ケアにもすぐ活用できます。
しかし、ほとんどの看護師は、教育機関でエコーを学ぶ機会を持たないまま現場に出ています。そのため、組織内で新しい技術革新を実現するためには、いくつかの障壁を乗り越えるエネルギーが必要かと考えます。
このコラムでは、ポケットエコーmiruco CL5(日本シグマックス株式会社)の魅力を発信すべく、私とポケットエコーの出会い、急性期病院と訪問看護におけるポケットエコーの活用例、障壁を乗り越えるためのエコーの普及活動についてご紹介します。1人でも多くの看護師がポケットエコーを活用してみたいと感じて、はじめの一歩を踏み出せてもらえたら幸いです。
私がエコーと出会ったきっかけは、足底部に熱傷を負った糖尿病性神経障害のある患者の存在でした。その足部の創傷は一旦治癒したかに見えましたが、深部組織損傷があり再燃しました。下肢切断は免れたもののフットケアチームとして自責の念を抱き、とても落ち込みました。程なくして、著明な先生によるフットケア研修会に参加しました。その際、深部組織損傷の検索にエコーを活用していることを知り、大きな衝撃を受けました。
「エコーがあれば、リスク回避できたのでは。」この経験を機に、私はエコーに深く興味を持つようになりました。
そしてついに、2020年12月に新型コロナの慰労金でエコーを購入しました。最初は自宅で家族の膀胱内尿量を描出し練習しました。
膀胱内尿量はすぐに描出が可能となり、ますますエコーが好きになりました。それでも、臨床現場での実践には至らず、なかなかはじめの一歩が踏み出せませんでした。
そこに背中を押してくれたのが1人の医師の存在でした。私が医師に対してエコー普及の夢を語ったところ、理解を示してくださいました。その後、技術指導や、診療録への記載を積極的に実施するよう、支援してくださいました。これより、私は入院患者にエコーを実施するようになり、はじめの一歩を踏み出すことができました。
その後、膀胱エコー、ストーマサイトマーキング、エコーガイド下末梢静脈穿刺、嚥下エコー、インスリンボールの検索、心臓チョイ当てエコーのハンズオンセミナーを開催し、いつも大盛況でした。しかし、院内でエコーのセミナーを連発するだけでは、その普及、更に技術の定着は達成しません。
そこで、多くの看護師がエコーを正確に安全に活用できるように仕組みを作りました。その活動は、現場の理解、ソフトウエア、ハードウエアの整備において、決して簡単な作業ではありませんでした。
しかし、私ひとりがエコーを実践しても、現場の貢献には限界があります。将来、エコー技術をたくさんの看護師に普及させたいという強い気持ちがありました。そこで、看護部長に何度も理解を求めた結果、院内の倫理委員会の承認を得ることが出来ました。認定看護師の活動の一環と位置づけ、彼らには専門分野に特化したエコー技術を習得し、インストラクターを担ってもらいました。また、その活動について内規を定めました。認定看護師が中心となって、各分野の教育システムの整備をおこない、学びを得た看護師の多くが日常現場でエコーを活用するまでとなりました。(図1)
ここからは、訪問看護におけるエコー活用の現場のリアルをご紹介します。使用するエコー機械は日本シグマックス株式会社のポケットエコーmiruco CL5です。
訪問看護で排泄ケアは最も日常的に提供する看護ケアです。
神経因性膀胱で間欠的自己導尿が必要な人、急性期病院から膀胱留置カテーテルを挿入し退院された人、12時間以上排尿を認めず、介護者である家族が不安に感じている場面など排尿をめぐる問題は様々です。そのような時、ポケットエコーがあれば、本人や家族の不安を軽減しQOL向上を目指すことができます。
間欠的自己導尿をした直後に、エコーで膀胱を観察し、膀胱の虚脱を認めると正しい手技が実施できたことへの証拠となります。本人には自己導尿手技の安心感と自信が得られます。また、急性期病院から膀胱留置カテーテルを挿入したまま退院された人がいます。訪問診療医師に医学的必要性を確認し、社会的、心理的問題を吟味したうえで、本人の希望を確認し抜去します。その後、排尿日誌と合わせながら、エコーを用いて残尿量を確認し、カテーテル抜去を目指します。その経過の中で、薬物療法やリハビリなどを併用し、安全にカテーテルフリーの生活に導くことができるのです。
ポケットエコーmiruco CL5では、尿量計測機能が搭載されているため、膀胱内尿量の推定に役立ちとても便利です。膀胱内尿量の観察は、ポケットエコーの基本的な使い方を理解することで、正確に行うことができます。
私は急性期病院で勤務していた頃、年に数回糞便穿孔で、緊急手術となった高齢者の方に遭遇しました。認知症や高齢者、パーキンソン病の人は症状や訴えに乏しいため、身体所見をキャッチしにくいことが特徴です。そのような時、エコーで直腸の便を観察すれば、便の有無、性状、量が可視化されます。直腸内に便を認めると、有形便の場合、白い高エコー像として観察することができます。そのため、画像を確認することで、適切な看護ケアが提供できるわけです。直腸内に便の貯留を認めると、トイレ誘導を促します。それだけで、自然排便を認めることも少なくありません。
訪問看護のタイミングで、適切な排便ケアが提供できると、介助者であるご家族の負担が軽減されます。また、適切な排便ケアは、認知症の人のせん妄を軽減することにもつながります。直腸内の便の観察も、初めての方でも手順通りの使い方を守れば安全に実施可能です。
がん終末期、在宅で静かに療養される人に訪問診療医師が腹水穿刺をされました。約2Lの抜水を目標に、訪問看護師が状態観察のために見守りが医師より指示されました。万が一、腹水の流出が停止した場合は、体幹を左右に傾斜して工夫するように説明がありました。
最初は順調でしたが、500ml抜水できたところで、ぴたっと流出が停止してしまいました。医師の指示どおり、体位の調整を実施しましたが、流出の増加は見られませんでした。そこで、リニアプローブで腹腔内の穿刺針先端を確認したところ、腸管に接触していることが確認できました。約1cm程度穿刺針を抜浅したところ、スムーズに流出が再開し、予定通り2Lの腹水が抜水できました。その後、その方の腹部膨満感は軽減し、穏やかな在宅療養の継続が可能となりました。
在宅において、末梢静脈経路による点滴や注射が困難である場合、皮下点滴に変更することが多くみられます。在宅における皮下点滴のメリットは数多くありますが、使用する薬剤や輸液の種類には制限があります。そのため、選択される薬剤によっては、静脈経路が望ましい場合があります。そのような時、ポケットエコーで静脈の観察を行うことで、穿刺に適した部位を検索することが可能となります。
現在私が所属する訪問看護ステーションおひさまには4名の看護師が在籍しています。看護師全員が日常の現場でエコーを活用しています。
とてもアットホームな雰囲気の中で、エコーの技術習得に「教育システム」といったきちんと整備されたものはないのが正直なところです。
しかしなぜ当ステーションの看護師が、2ヶ月程度で技術を修得できるようになったのかについて考えをまとめてみます。
当ステーションは2024年9月に大阪府岸和田市で開業しました。
当初、3名で始めたステーションですが、勤務の空いた時間を利用してエコーの研修を実施しました。まず、比較的容易な膀胱から始めました。解剖学的位置、プローブの種類、持ち方、機械の電源の入れ方、基本操作に始まり、当初はスタッフ同士の膀胱で描出を練習しました。
ある程度エコーの走査に慣れてきたら、実際の現場でご利用者にプローブを当てさせていただきました。画像の判断に慣れない間は、指導者とともに実践し、看護ケアに展開しました。スタッフが描出技術に慣れて来た頃、単独で実施するようになりました。
画像はステーションで共有し、それを基にカンファレンスをするなど、話し合いの機会を多く持ちました。その行動によりエコーを活用した看護が意味を持つようになったと感じています。そしてその6ヶ月後に新しいスタッフが入職した際も同じ事を繰り返すことで、気づけば全員がエコーを活用した看護を実践していました。共通していえるのは、膀胱エコーから修得し、現場のニーズに反応しながら、直腸の観察、肺Bline、下大静脈、エコーガイド下末梢静脈穿刺など技術を高めていく流れが出来たのです。
一般的にポケットエコーはとても高価であり、小規模のステーションではなかなか手に入れにくい医療機器です。しかしながらポケットエコーmiruco CL5は他のポケットエコーに比べると低価格であるため、予算の射程圏内に入るのではないでしょうか。
また、訪問看護業務は、朝にステーションを出発したら昼休憩まで戻らないのも特性の一つです。そのような状況で2時間連続使用できるバッテリーを搭載したポケットエコーmiruco CL5は秀逸です。そして、リニア、コンベックスの両方が1台に集約されており、後はモニターとゼリーを携帯するといったポータビリティの良さも訪問看護の現場において使いやすいアイテムと評価します。
訪問看護では限られた資源の中で医師を含めた多職種チームと連携しながら、低侵襲で最大のパフォーマンスを発揮することが求められます。そこにポケットエコーは訪問看護師の強い味方であると感じています。まさにポケットエコーは私たち訪問看護師の頼れる「ともだち」です。
「看護師さんのエコー活用は私たち患者にとって生きる希望」という言葉を残してくださった人がいました。エコーと看護師はとても親和性が高く、正しく活用すれば素晴らしいデバイスと感じています。もしエコーを看護師が臨床現場で活用し、「生きる希望」と言葉をかけてもらえたら、看護師冥利に尽きると思いませんか?
もちろん、エコーは看護の問題を解決する万能ツールではありません。看護師の業務は、定められた勤務時間の中で、そのパフォーマンスを最大限に発揮するために、自律して行動することが大原則です。身体観察を行う際には、エコーのメリット・デメリットを十分理解した上で、必要と判断した時に看護師がエコー機器を活用できる環境が大切であると考えます。また、取り組みを始めた頃は、複数の看護師がエコーを使用して感想を共有することが、エコー活用の促進につながり、結果として看護の質の向上につながると感じています。
看護師によるエコー教育システムの構築は、未来における「人」と訪問看護師の笑顔の花を咲かせる種まきのようだと感じています。
イノベーションには障壁がつきものです。時間をかけて、周囲の賛同を得ることで障壁を乗り越え、新たな看護を研鑽する道が開けると確信しています。ポケットエコーが一人でも多くの看護師が手に取るデバイスとなる未来の実現を私は強く願っており、時代はもうすぐそこまで来ていると感じています。
皆さんも私たちと一緒に、ポケットエコーで笑顔の花を咲かせませんか?
本記事でご紹介しました「ポケットエコー miruco CL5」に関しての詳細やお問い合わせは以下サイトにてご確認ください。