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公開日:2021/10/20
テルモ株式会社
国の人生100 年時代構想では、安心の基盤は「健康」と提言しています。私達は、健康の基盤は「栄養」であり、栄養管理を通じて健康を支えていく必要があると考えます。近年の食生活の変化を経て、超高齢社会である今、フレイル・サルコペニアや疾病予防における栄養の重要性が意識されるようになりました。従来は生活習慣病の栄養過剰摂取が主な課題でしたが、近年は栄養障害の二重負荷(※1)(DBM、double burden of malnutrition)への対策が課題となっています。栄養障害の二重負荷は、自由な食生活背景も相まって、女性や高齢者、傷病者などにみられる傾向が強く、エネルギーと栄養素のアンバランス摂取や不足がみられる現代版の栄養失調です。これらの改善には、食べすぎにを意識した生活習慣病予防から、「バランス良く、しっかり栄養を摂る」ことの重要性に意識をシフトする必要があります。
高齢者へのカウンセリングのポイント
▶メタボ対策からフレイル対策に意識をシフトする
▶食生活を意識することを促す。
▶栄養の過不足を調整する。
▶食事量が負担な方には、栄養補助製品(ONS)を利用する。
●食欲や体重変化がシフトのバロメーター
食事量が負担な方に
ご参考:バランスのとれた 4.0 kcal/mL ONS加齢や疾病罹患によって、食事を食べることに困難をきたすことがあります。1食を4.0 kcal/mL ONS に置き換えることによって、エネルギーと栄養素をバランス良く補えます。食事の摂取不足が認められる方に、効果的な方法です。
400 kcal 献立例
・バターライス ・揚げ豚肉のおろし煮 ・野菜サラダ ・きのこの炒め煮
200 kcal 献立例
・たまごサンド ・野菜サラダ ・わかめスープ
高齢者の「しっかり摂る」ことの重要性は、日本人の食事摂取基準で具体的に提示されています。また、新たな日本人の食事摂取基準2020 年版(案)では年齢の区分*が再考され、65歳~74歳と75歳以上に区分されました(※2)。ただし、高齢者の特徴である個々の多様性(複数疾患や活動性)を考慮したシフトアップが必要です。
BMI
● 高齢者の特性に、身体活動レベルの低下により食事摂取量が低下し、それとともに栄養素の充足が難しくなる傾向があります。この摂取量不足は、結果として体重変化と体格(BMI)に表れます。
● 高齢者のBMI 低下への注意喚起から、高齢者の実態に即したBMI 目標範囲を設定されています。
カウンセリングのポイント
▶メタボのリスクあり: BMI 範囲内高値以下を目標
▶フレイルのリスクあり: BMI 範囲内低値以上を目標
●BMIの目標(範囲)値
日本人の食事摂取基準2020(案)(※2)
たんぱく質
● たんぱく質摂取不足は、フレイル・サルコペニアに直接的に影響します。
カウンセリングのポイント
▶フレイル・サルコペニアの発症予防には、65 歳以上では少なくとも1.0 g/ 体重kg/ 日以上の摂取を目標とします。しかし、腎障害などは個々に応じた設定が必要です。
● 材料( 1人前)
ソース : 4.0 kcal/mL ONS 1/4 本( 25 mL)、ヨーグルト 40 g
パイナップルジュースのゼリー: 粉ゼラチン 1.5 g 、水 15 cc 、パイナップル濃縮還元ジュース 60 cc
飾り : レモン(輪切り)1 枚、ミントの葉 適量
● 作り方
❶ 4.0 kcal/mL ONS とヨーグルトを混ぜ合わせる。
❷ ゼラチンを水にいれてふやかす。
❸ パイナップルジュースを70℃以上に温める。
❹ ❸に❷を入れて混ぜて溶かし、冷やし固める。
❺ ❹に❶をかけ、ミントの葉とレモンを飾る。
カロリーUP のポイント
MCT 3 g、粉アメ5 g を加えると、177 kcal までUPできます。
ご注意
●管理栄養士の指導のもとに行ってください。
●パックに残ったONSは、しっかりと封をして冷蔵庫に保管します。
保管は、開封後24時間以内を目安にしてください。
*
引用文献
(※1)FAO/WHO.INTERNATIONAL CONFERENCE ON NUTRITION.December 1992
(※2)厚生労働省.日本人の食事摂取基準2020(案).2019年9月6日アクセス
写真提供:利光久美子先生
テルモ株式会社
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