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  • <特別対談> あなたはSDGsを知っていますか? こんな時代だからこそ、ナースができることを考えよう

公開日:2023/7/1

<特別対談>
あなたはSDGsを知っていますか?
こんな時代だからこそ、ナースができることを考えよう

はじめに

あなたは“SDGs”を知っていますか? SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」のことです。

SDGsへの取り組みは医療業界でも徐々に進んできています。今回は、常に時代を先読みして看護界をリードされて来られている真田弘美先生(石川県立看護大学学長、東京大学名誉教授)と山田繁代先生(元 兵庫医科大学病院看護部長・副院長)をお迎えし、「あなたはSDGsを知っていますか? こんな時代だからこそ、ナースができることを考えよう」というテーマでお話しいただきました。ここでは、そのダイジェスト版をお届けします。

SDGsとは?

1987年、国際連合の「環境と開発に関する世界委員会」が公表した報告書「Our Common Future(われら共有の未来)」の中で、「持続可能な開発(Sustainable Development)」の概念が掲げられました。

SDGsは、2001年に策定された「MDGs」=「ミレニアム開発目標」が進化したもので、サステナビリティの考え方を具体的な目標に落とし込んだものです。2030年の達成を目指して、2015年の国連サミットで193か国の間で採択されました。

SDGsの17の目標は、環境・社会・経済の3つに分類してとらえることができます。

環境
目標6(安全な水とトイレを世界中に)
目標13(気候変動に具体的な対策を)
目標14(海の豊かさを守ろう)
目標15(陸の豊かさも守ろう)

社会
目標1(貧困をなくそう)
目標2(飢餓をゼロに)
目標3(すべての人に健康と福祉を)
目標4(質の高い教育をみんなに)
目標5(ジェンダー平等を実現しよう)
目標7(エネルギーをみんなに。そしてクリーンに)
目標11(住み続けられるまちづくりを)
目標16(平和と公正をすべての人に)

経済
目標8(働きがいも経済成長も)
目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)
目標10(人や国の不平等をなくそう)
目標12(つくる責任、つかう責任)

パートナーシップ
目標17(パートナーシップで目標を達成しよう)

 

そして、パートナーシップの強化に関して1項目が関連づけられ、合計17項目の目標達成に向けて努力することが求められています。

SDGsの17項目の中で看護に関連するもの

対談では、SDGsの目標の中でも特に看護に深くかかわるものについてお話しいただきました。お二人は“栄養”の観点から「目標1:あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」と「目標2:飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」の重要性を指摘します。

真田先生:

医療の領域では、高齢者の低栄養“malnutrition”が問題だと考えられます。SDGsから少し離れますが、日本褥瘡学会の最新ガイドライン『褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版』では「褥瘡の治療に高エネルギー・高たんぱく質の栄養補給を提供する」という項目が「2C」の強さで推奨されています。褥瘡予防・治療の両面において、栄養状態の改善は必須です。

山田先生:

そうですね。栄養はすべての治療の根幹です。

医療従事者のための目標ともいえる「目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」、女性の多い看護職ならではの身近な目標として「目標5:ジェンダー平等を達成し、すべての女性、および女児の能力強化を行う」も話題に上りました。さらに、看護師一人ひとりが長く働ける職場づくりのためにも「目標8:包摂的かつ持続可能な経済成長、およびすべての人々の完全、かつ生産的な雇用と、働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」についても触れられます。

真田先生:

医療現場でも目標8の動きは加速しています。代表的なのが医師の長時間労働をなくす“働き方改革”、医師や看護師の“タスクシフト”です。安心安全な労働環境をつくり出すことで、雇用の安定化が図られ、看護師の定着にもつながります。

看護の現場でナースができるSDGsへの貢献

SDGs達成と看護師として働くことに強いつながりがあることを確認されたお二人。対談では、さらに地球環境の問題へと話題が移りました。一見壮大なテーマにおいても看護の力を発揮できる可能性があるとお二人は話します。

環境への配慮を意識

真田先生:

看護師の仕事は目標3を達成するための取り組みそのものです。そして、働きがいのある人間らしい仕事ですから、まさに目標8の「ディーセント・ワーク」といえます。

山田先生:

看護師は、意識する・しないにかかわらず、職業としてSDGsに貢献しているのですね。ところで、地球環境への配慮という点では医療従事者の意識はどうでしょうか。

真田先生:

地球環境への配慮は確かに悩むところです。私もこのテーマをいただいた時にそのあたりを振り返ってみました。医療の現場で私たちが意識しなければいけないのは、おびただしく排出される医療廃棄物です。これは地球環境に及ぼす影響がとても大きいのではないかと思っています。

山田先生:

それは目標12の持続可能な消費と生産、つまり「つくる責任・つかう責任」に関連する問題ですね。例えば、食品ロスを減らして廃棄を最小限にすることをうたっていると同時に、化学物質が大気汚染や水質汚染、土壌汚染を起こさないように「化学物質や廃棄物の排出を減らすこと」を強調しています。

真田先生:

医療関連機器、注射器、カテーテル、カニューレ、輸液バッグ、尿バッグ、ドレナージバッグ製品など、ほとんどプラスチック素材のものが多いですよね。種類が多いだけに、1日の消費量は莫大な量になります。

山田先生:

栄養関連で使用する製品もプラスチックが多いですね。輸液バッグ、栄養バッグ以外にも各種チューブ類などたくさんあります。プラスチックは加工しやすく、強くて軽いので大量に今まで利用されてきました。一番の特徴は腐食に強いことですね。これが海洋プラスチックごみの問題につながっているといわれています。

医療関連企業が推進する脱プラ対策を知る

環境省では、プラスチックごみの削減に向けた「プラスチック・スマート」というキャンペーンを展開。「プラスチック・スマート」とは、「プラスチックとの賢いつきあい方」を意味します。日本でもこのキャンペーンに賛同する多くの企業、研究機関などがプラスチックごみ問題の解決に向けて、さまざまな取り組みを推し進めています。

例えば、ニュートリー株式会社では、プラスチックごみ問題への取り組みとして、「サンエットK2」や「リカバリーK5」の流動食において、従来のプラスチック製の流動食容器と同じように使用できる紙製の容器を採用。再生可能な資源の紙を使用することで、1パックあたり約70%のプラスチック削減を実現しました。

このように、医薬品や栄養食品を取り扱う企業の中にもプラスチックごみの削減に向けて、環境保全に取り組む企業が出てきました。SDGsの目標達成と持続可能な社会の実現に向け、社会の課題解決に取り組んでいるのです。

医療やケアに使う製品にも環境配慮の意識を

医療従事者もプラスチックごみを減らすために行動を改善していく必要があります。そのためにいつも使用する医療材料や消耗品、医療機器の製品選択の基準を見直してみるのはどうでしょう。

真田先生は医療従事者が製品選択において第一に優先するのは「それを使う患者さんにとって安全で安楽であるかどうか」と話します。その次に大事な判断基準は「使いやすい製品であるかどうか」。加えて、病院管理者にとっては「コスト」も見過ごせない問題とのこと。山田先生も長年の管理者としてのご経験からコストの問題には大きくうなずかれました。

ただ、真田先生はこれまでの選択について「使った後の廃棄による問題として感染以外はあまり視野に入ってきていなかったかもしれません。われわれWOCナース(皮膚・排泄ケア認定看護師)も感染を一番に優先してきました」と振り返ります。

医療現場では徹底した感染対策が求められています。多忙な中で感染対策を確実に行うには作業の効率化は必要不可欠です。

山田先生は、栄養バッグを例に挙げ、繰り返し使用可能なイルリガートルから、感染防止や作業効率へのニーズから吊り下げ型のバッグ製剤へと移り変わってきたことに言及。使用後は洗浄や消毒も不要で、捨てるだけで処理できる安全性と利便性は大きなメリットとしつつも「廃棄物の観点から言えば、やはりプラスチックごみを増やしていることになる」と語ります。

SDGsへの取り組みを考えると、これからの製品選択では感染対策だけでなく、プラスチックごみとなった後のことも考える必要がありそうです。真田先生は廃棄物の問題にも目を向けつつ、「折り合いをつけながら優先順位をつけていく。そのような考え方が必要ではないか」と提案されます。

サステナブルな製品開発を企業に提言することも必要

医療従事者がプラスチックの使用そのものを減らすことはできるのでしょうか。先生方が考えるアイデアを教えていただきました。

山田先生:

私たちが製品を選ぶ際は、特徴が同じでメリットもデメリットも変わらなければ、例えばプラスチックの製品ではなくて、紙でできた製品を優先して選ぶことができると思います。やはりSDGsを視野に入れた思考がこれから必要になってくるのではないでしょうか。

真田先生:

おっしゃる通りですね。われわれナースは忙しくて、今まで気がついてこなかったかもしれませんが、医療材料も医療機器も、いろいろなものがありますが、それらすべてを何とかサステナビリティな方法にシフトしていく。つまり、プラスチック製品を紙の製品に変えていくことを企業にお願いしなくてはいけないと思ったのですが、いかがでしょう。

山田先生:

そうですね。やはり患者さんに一番近い存在のナースの責任でもあると思います。“企業への提言”は非常に大事です。

真田先生:

われわれナースには生命と健康を守る使命があります。そうした意識を持ち続けなければならない。いつも思っていることですが、世界中で勃発しているCOVID-19や軍事紛争のショッキングな場面に直面している危機の時代だからこそ、このSDGsの真価がわれわれナースに問われているように思います。


対談の最後には真田先生から「人類がSDGsを指導理念として共有し、叡智を結集して危機を克服することができれば、その後の社会を“持続可能な社会”にできるような気がします」との力強いお言葉もありました。そして、「目標16:平和と公正をすべての人に」に触れ、お二人とも医療従事者としてSDGs貢献に向けて何をすべきか、あらためて考えたいと語られました。

こちらの内容をもっと詳しくお知りになりたい方へ


この特別対談で紹介された紙製の容器を採用した流動食「サンエットK2」「リカバリーK5」の詳細はニュートリーのURLをご覧ください。

◆サンエットK2⇒

https://www.nutri.co.jp/products/sanet_k2/index.html

◆リカバリーK5⇒

https://www.nutri.co.jp/products/recovery_k5/index.html

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第1部
特別対談「あなたはSDGsを知っていますか?こんな時代だからこそ、ナースができることを考えよう」
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 元 兵庫医科大学病院 看護部長・副院長 山田繁代先生

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※件名にセミナー名「はじめてのSDGs」とご記載いただくとスムーズです。

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