※パスワードの変更もこちらから
2021年4月公開
血圧が上がる仕組みと血圧管理が大切なわけ
執筆:山村聡(ドクターメイト株式会社・内科医)
血圧管理が重要だということはなんとなくわかるのですが、高血圧はどうして起こり、なぜ医学的に重要なのでしょうか?
おっしゃるように、高血圧が体に悪いということはなんとなくご存知のことと思います。それでは、具体的に高血圧はどのように体に影響し、高血圧患者はどんなデメリットをこうむることになるのでしょうか? ケアに当たる方々が、その理由と目的を知った上で血圧を測定し、適切に管理することによって、業務への理解度や充実度が上がり、さらに安心・安全なケアを提供していただけることを期待しています。
加齢に伴って血管は硬くなり、腎臓の血圧調整機能が低下して血圧が上昇します。血圧の影響を最も強く受けるのが血管です。血管を流れる血液の圧力が「血圧」なので、血圧が上がれば血管への負荷が大きくなるのは当然です。大きな圧力を受ける血管では、内壁が傷つき、かさぶたのようなプラークが生じ、内腔が狭くなります(図1)。心臓の周りを流れる冠動脈が狭くなれば狭心症を発症し、冠動脈が完全に詰まると心筋梗塞に至ります。同じように、脳の血管が詰まれば脳梗塞を生じ、麻痺や言語障害の原因となります。
高血圧にさらされた血管は傷つくだけでなく、ときに破れます。脳の中の血管が破れると脳出血を生じ、大動脈が破れると大動脈解離など激痛を伴う重篤な疾患を来します。ほかにも高血圧は心臓、腎臓にも負担を生じ、心不全、腎不全の原因となります。
図1 血管内壁に発生したプラーク
重要なのは、これらの恐ろしい病気でも、高血圧を是正して血圧を適切に管理することによって予防できるという点です。65歳上の高齢者、75歳以上の後期高齢者でも同じことが言えます。避けることのできる病気を予防し、年齢相応から年齢以上のQOLを維持し寿命を全うするために、皆さんでぜひ血圧管理に努めていただきたいと思います。
©DEARCARE Co., Ltd.