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2025年2月公開
この連載では、東京都の精神科訪問看護「コモレビ・ナーシングステーション」のスタッフが、現場のみなさんから寄せられた声をもとに、精神科の利用者さんへのケアのヒントをお届けしていきます。 今日は「利用者さんから死にたいと言われたときの対応」について考えていきたいと思います。
Q. 訪問看護で働いていますが、1か月前にはじめて精神の利用者さんを担当することになりました。先日の訪問時に突然、「死にたいんです」と言われて...とても驚いて、何も言うことができなかったのですが、そのときの利用者さんの硬い表情が頭を離れません。 次の訪問でも同じことを言われたらどうしようと怖いです。私はあのときどうしていたらよかったのでしょうか。(神奈川県・訪問看護師A)
利用者さんからの突然の「死にたい」という言葉に、とても驚かれたのですね。 まず、「死にたい」という気持ちを伝えてもらえたこと自体は、Aさんが、ここまでの訪問において、利用者さんと信頼関係を築いていらしたことの証だと思います。その点について、まずはどうか、自信を持っていただけたらと思います。
私たちの精神科特化の訪問看護ステーションである私たちの仲間からも「入社して初めて利用者さんから死にたい気持ちを吐露されたときはショックを受けた」という声を聞くことがあります。 逆に言えば、全く驚かないという人のほうが珍しいのではないでしょうか。「戸惑ってしまった」というAさんご自身の反応も、とても自然だと思います。
では、利用者さんから「死にたい」と言われたとき、私たち訪問看護師がどう考え、どのような関わりができるか。 たくさんのポイントがあり、訪問看護師/ステーションによっても様々な考え方があるかと思います。ここでは私たちコモレビが特に大切だと考える、2つのポイントについてご紹介していきます。
まず、意識したいのは、「穏やかな態度で接する」「『死にたい』という言葉を否定しない」ことです。
たとえば看護師から
「驚きのあまり、ひどく動揺してしまう」
「『そんなこと思わないでください!』『「○○さんが死んでしまったら、みんな悲しみますよ』など、死にたいという言葉自体を否定する・励ます
などの反応があった場合、その姿を見た利用者さんは
「こんなことを言うと困らせてしまうんだな」
「もう話すのはやめておいたほうがいいのかな」と感じてしまうかもしれません。
利用者さんに安心して対話を続けてもらうためにも、「穏やかな態度で接する」を意識してみてほしいと思います。
ここで一つ、考えてみてほしいことがあります。利用者さんは、支援者に対してどのような期待があって、「死にたい」という言葉を発したのでしょうか。
とにかく辛くて助けてほしかった、ただ聴いてほしかった・・何か、期待があったのかもしれません。 「死にたい」と言われたら、すぐに否定するのではなく、「伝えてくださってありがとうございます」など、そうした辛い気持ちを打ち明けてくれたことへの感謝を伝えてみてほしいと思います。それは、利用者さんが安心してその場にいられる雰囲気をつくることにもつながります。
そもそも「死にたい」という言葉を発した背景には、どのような気持ちがあったのでしょうか。そこを丁寧に聴いていくことで、利用者さんご自身さえも自覚していなかった、色々な気持ちが出てくることがあります。
なお、対話を続けるにあたっては、必ず「このお話を続けてもよいか」を確認しましょう。話したい、話したくないという気持ちを尊重し、利用者さんにとって安心して話せる場をつくることが必要です。
田中さん(仮名)「いま・・・わたし死にたいと思っているんです。」
看護師「ああ、そうなんですね...。いま、死にたい気持ちがあるんですね。」
田中さん:「自分はなかなか思うように変わらないから..。だからもう、おしまいにしたいなって」
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