2019年5月公開
※この記事は、公開年月現在の情報です。ご留意の上お読みください
はじめに
糖尿病足病性潰瘍(DFU)を診察しなければならない機会がどんどん増えています。
DFUは、末梢神経障害・血流障害・足部変形から、外傷・虚血を契機に発症します。病態が複合的であるため診断や診療が難しいといわれています。
糖尿病による易感染性から、感染が起こると重症化しやすい病態です。さらに末梢神経障害によって疼痛を感じないために、重症化してから医療機関を受診することも少なくありません。重症化すると切断となる可能性が高く、また、潰瘍が一度治癒してもまた再発する可能性が高いといわれています。この困難な病態の患者が増加しているのです。
DFUに対応すべく、この10年で医療制度も診療機器もめまぐるしく変革しました。
足に関連する医療制度としては、糖尿病合併症管理料(2008年)、下肢末梢動脈疾患指導管理加算(2016年)が制定されました。最近では、DFUに関連するデバイスとして、洗浄機能付き陰圧閉鎖療法、持続血糖測定器(CGM)などがリリースされました。また、2018年に欧米のESCガイドラインでは、CLTI(chronic
limb threatening ischemia=包括的高度慢性下肢虚血)という新しい概念が提唱されました。
これらによって、診療の体制や診療内容、そして治療の方針も変化しつつあります。診療の現場では、新しい知識と機器を取り入れて、切断を回避すべく努力をし続ける必要があります。
DFUとフットケアをテーマにした教科書や雑誌の特集は、多数あります。Web上でもDFUの情報はいくつかありますが、どれも単発であり網羅的ではありません。また、本当に役立つ内容を含んだ情報はそれほど多くありません。Web上での教科書のような情報がないのです。さらに、現在のWeb上の情報は、コピー&ペーストしたものが多く、内容にもまとまりがありませんでした。
そこで、本サイトは、教科書である「ナースのための足病の教科書」と連動する形になっています。紙の本には、パラパラとめくって見る楽しみ、探せる便利さがあります。一方Webでは、検索やコンテンツをリンクでつなげることができ、最新の情報を追加したり刷新したりすることもできます。それぞれの良いところを利用して、DFUについて学んでいただければと思います。
この情報サイトは、一般的な教科書とは異なり、画像を多く使用し、「実践で即役立つコンテンツ」ということを心がけて作成いたしました。
臨床の場でDFU患者を前にして困ったときに、「ナースのための足病の教科書」を机の横に置きながら、ぜひWeb上での本サイトを活用いただければ、必ずなんらかの解決の糸口になるものと確信しております。
2019年5月現在
1.糖尿病足病性潰瘍とは
2.糖尿病性足病変の発生機序・原因・病態
下肢救済のために必要な早期発見・治療
糖尿病の多様な病態は、微小血管障害から派生し、糖尿病腎症、網膜症、神経障害の3大合併症を引き起こします。微小血管の閉塞によって各臓器に栄養や酸素が行き渡らなくなると、臓器障害が生じます。
3.糖尿病患者の足の評価法
糖尿病患者の足のアセスメントの際には、以下の6点について観察し、評価していきます。
①形状 ②色 ③におい ④温度 ⑤疼痛 ⑥皮膚
4.虚血があるかどうかを調べる①:簡便な血流評価の方法
5.虚血があるかどうかを調べる②:客観的な血流評価の方法
重症下肢虚血(CLI)の治療を行う前には、血流の評価が必要です。虚血の評価には、脈拍触知や血管雑音聴取の他に、客観的評価を行います。
6.PAD、CLIの治療の実際:血行再建術
バイパス術と血管内治療(EVT)
末梢動脈疾患(PAD)が重症化した病態である重症下肢虚血(CLI)の予後は不良です(図1)。CLIの治療は、すみやかな血行再建術と、その後の感染制御を主とした創傷治療と全身管理です。
7.足病の創傷治療の実際:外科的デブリードマン・切断術
壊死組織を尖剪やメスなどで切除することを、外科的デブリードマンといいます。デブリードマンや切断術を行うための条件として、SPPなどの血流の評価が必須です。十分な血流が得られていない場合は、デブリードマンや外科手術を行う前に、血行再建を行っておく必要があります。
8.創処置の基本:洗浄・足浴
9.外用薬・創傷被覆材による創傷管理
血行再建前・血行再建後の創傷管理
重症下肢虚血(CLI)の血行再建前には、侵襲的なデブリードマンは避け、感染予防と壊死組織の乾燥化のために、殺菌力と水分吸収効果をもつ外用薬を使用します。具体的には、スルファジアジン銀よりも白糖・ポビドンヨード配合製剤、カデキソマー・ヨウ素などを用います。
10.局所陰圧閉鎖療法(NPWT)の使い方
局所陰圧閉鎖療法とは
局所陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy:NPWT)は、創傷を創傷被覆材で密閉し、陰圧を負荷することによって治癒を促進させる物理療法です。
11.スキンケアの実際
12.亀裂・角化のケア
13.胼胝・鶏眼のケア
胼胝・鶏眼とは
角層が肥厚したものを「胼胝(べんち)」(図1)、角層が深層に突起し接触・圧迫で痛みが生じるものを「鶏眼(けいがん)」といいます。胼胝は「タコ」のこと、鶏眼は「ウオノメ」のことです。これらは、足の変形によって骨突出部の圧迫や摩擦・ずれなどの機械的刺激が慢性的に皮膚に負荷して、反応性に角質が増殖したものです。胼胝や鶏眼は、創傷ができないための生体の防御反応の一つです。
14.爪のケア 陥入爪
15.蜂窩織炎
16.新しい下肢救済のための医療制度:下肢末梢動脈疾患指導管理加算
下肢末梢動脈疾患指導管理加算の新設
下肢末梢動脈疾患では、初期には間欠性跛行を認め、さらに虚血が進行すると安静時痛が生じるようになり、足部に壊死や潰瘍を認めるようになります。また、前述のように、前触れなしに突然壊死を起こす場合もあります。これらの創部に治療を行っても、虚血状態では予後が悪く、下肢の切断から歩行困難へとつながるリスクが非常に高いです。
17.医療用フットウエア・免荷とTCC
医療用フットウエア
医療用フットウエアは、歩行を目的とした足治療の一つです。医療用フットウエアを使う時期は、①予防(創傷・胼胝の形成を阻止する)、②創傷の免荷(治療中)、③再発予防(後治療)の3つに分かれます。
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