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2021年11月公開
“テレナーシング”とはどういうもの?
『エキスパートナース』編集部
テレナーシング(Telenursing)とは、「ICT(情報通信技術;Information and communication technology)と遠隔コミュニケーション(Telecommunication)を通じて提供される看護活動」のことを言います。テレナーシングを提供する看護職を「テレナース」と言います。テレナーシングは対面で行う看護とは異なるため、テレナースはモニタリングデータを正しく評価し、利用者の病状や状況を推論し、“遠隔コミュニケーション”によって情報を加えて状況判断を行います。利用者に対しては、利用者を中心とした情報提供、教育、看護相談とメンタリング、そしてエビデンスに基づく保健指導を行います。これらがテレナーシングの5つの柱と言われるものです(図1)。
図1 テレナーシングの5つの柱
日本在宅ケア学会:テレナーシングガイドライン.照林社,東京;2021:4.より引用
テレナーシングの目的を表1に示しました。利用者のセルフアウトカムの改善や生活の質(QOL)の向上を目指します。
表1 テレナーシングの目的
テレナーシングの主な対象者は、慢性疾患を持っていながらセルフケアに支障がある方になります。それらの方は、合併症のコントロールが難しかったり、急性増悪の可能性があったり、ストレスや心理的問題を抱えやすかったりする以下のような状態の方です。
テレナーシングは遠隔地からICTを用いて看護を提供するものであるため、さまざまなメリットがある反面、限界もあることも理解しておきましょう。
テレナーシングのメリットとして大きいのは、医療機関への通院にかかる利用者や家族の身体的・時間的・経済的負担を軽減することができることです。看護職にとってのメリットは、利用者や家族とのコミュニケーションを重視した看護ができることです。従来のベッドサイド看護や外来看護、訪問看護に次ぐ新たな看護の方法として、やり甲斐にもつながるものです。
一方、テレナーシングの限界は、すべての人が利用できるものではないことです。テレナーシングを行うためには、利用者宅にインターネット回線などの通信インフラやパソコン・タブレットなどの通信機器が必要になるからです。また、触診・打診・聴診などを行うことが困難なためアセスメントに限界があります。そして、看護教育においては基礎教育にテレナーシングが含まれていないため、テレナーシングを実践できる看護師が育成されていないという限界もあります。
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