ポジショニングの基本:「よい姿勢」と「安定性」
ポジショニングの基本である「よい姿勢」には、以下のような定義があります。
「よい姿勢とは力学的合理性や作業能力と大きな関連を持つ。よい姿勢の一般的な基準としては、力学的に安定し、長時間に及んでもあまり疲労しない姿勢である。また、健康で、心理的にも安定して、外観が美しい姿勢であることが、作業能率の面でも有効となる」
安定性、安楽性、安全性の関係
「安定性」はどのように構成されるのか
「安定性」を構成する要素には、
- 1.支持基底の面積
- 2.支持基底と重心線の関係
- 3.重心の高さ
- 4.物体の質量
- 5.摩擦力
- 6.構造の分節性
- 7.心理的要因
- 8.生理学的要因
の8要因があるとされています。ポジショニングの基本を考えるときに重要なのは、「重心」「基底面」「摩擦力」「構造の分節性=筋肉と関節の関係」です。
臥位(がい)時の安楽な姿勢:“良肢位”をおさえておこう
安楽を得るための基本的な体位は、筋肉が緊張から解放されて、身体部位がゆるんだ状態です。同一体位を続けていても安楽に過ごせる体位として“良肢位”があります。良肢位とは、関節が動かなくなった場合でも、日常生活において支障の少ない肢位のことです。良肢位は、身体の各関節を中間位にします。中間位をとることで、結果として身体全体を安楽に保持できます。
座位(ざい)時① ベッド上端座位(たんざい)
座位時の基本的な姿勢は、ベッド上でも椅子上でも同じです。座位時には、座面の安定が図られているかどうかを重視します。
座位(ざい)時② 椅子上座位(ざい)
椅子上座位でも、ベッド上端座位と同様に、安定を図れるように「90度ルール」が基本になります。
頭側挙上(背上げ)の行い方
頭側挙上時には、ベッドのリクライニングポイントを確認し、患者に適切な位置に臥床してもらって背上げを行います。
圧抜き(背抜き)の方法①
ポジショニングを行う際には、常に「圧抜き(背抜き)」を行うことが必要です。
圧抜き(背抜き)の方法②
圧抜きの方法の2つめは、「患者を抱き起こして体を浮かし、ずれや圧を調整する方法」です。
仰臥位(ぎょうがい)から30度側臥位(そくがい)への体位変換時のポジショニング
臨床では、仰臥位から30度側臥位に体位変換することが多いと思われます。その際は、まずアライメントを整え、基底面積を広くして安定した体位にする必要があります。
仰臥位(ぎょうがい)から側臥位(そくがい)への体位変換時のポジショニング ポジショニングピローを丸めるパターン
安定した体位を維持しながら、圧が再分配されるようにピロー使って支えます。ここでは、ピローを丸めて使うやり方を紹介します。
円背(えんぱい)患者のポジショニング
円背の強い患者を仰臥位にする場合には、円背全体を覆うような大きなピローを使用します。それによって、背部の部分圧迫回避と安定を図ることができます。
拘縮(こうしゅく)患者のポジショニング
拘縮患者では、拘縮部位の負担を改善するためにさまざまポジショニングピローを選択する必要があります。
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(※動画は各ページに掲載のものと同様です。)
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