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2017年5月公開
田中マキ子
山口県立大学副学長
山口県立大学大学院 健康福祉学研究科 教授
(2021年7月現在)
臨床現場では“ポジショニング”は、日常生活援助技術の一つとしてルーチンに行われています。看護師の介入行為を規定している「看護介入分類」の中でも、ポジショニングは、「患者を安楽にし、皮膚損傷のリスクを減少させるため、また、皮膚統合性を促進し、治癒を促すために、患者や患者の体の一部を動かすこと」と定義されています。筆者は「褥瘡予防」の視点からポジショニング技術のスタンダード化に取り組み、手術室など特定の体位が余儀なくされる臨床現場でのポジショニングについても実践的に研究してきました。
褥瘡予防のためのポジショニングでは、その定義を「動けないことにより起こるさまざまな悪影響に対して予防策を立てること、自然な体軸の流れを整えるとともに、安全・安楽の観点から体位を評価し、現状維持から改善に役立つよう、体位付けの管理を行うこと」1)と定めました。
さらに「ポジショニング学」として体系的なまとめを試みた際には、「超予防的な」観点に立って、ポジショニングを見直しました。超予防的な考え方とは、「積極的予防」を一歩進めた考え方ということができます。この考え方においてますます重要になるのが、身体の構造を理解し、患者の状態を評価しながら今後の状態変化を推測していくということです。
この特集では、ポジショニングの基本について紹介します。まず考え方の基本を踏まえて、臥位・座位での標準的な技術を示します。まずは基本的技術を知ることが必要だからです。そして、筆者が現在、指向しているのが、「トータルケアとしてのポジショニング」です。つまり、呼吸状態、摂食嚥下ケア等との関係も考慮しながら、トータルケアにおいて「体位づけの管理」を行うことが重要であるという考えです。
今後、褥瘡予防にとどまらない、トータルな観点からのポジショニングの推進をめざして検討していく予定です。その経緯については、後日概略をご紹介できると思います。
引用文献
この記事は、下記の書籍を参考にして作成しました。
田中マキ子編著:日常ケア場面でのポジショニング.照林社,東京,2014.
イラストレーション:今﨑和広
【関連ページ】
●動画でわかるポジショニングと体位変換の基本と進め方
ポジショニングの手技動画10本が今すぐ見られます。
https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/positioning/
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