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2022年6月公開
感染対策をベースとした急性期・高度急性期医療におけるフォーカス・ポイント
急性期医療に、新型コロナウイルス感染症等に対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制のための改定が行われました。さらに、急性期・高度急性期医療において、「急性期入院料の見直し」「特定集中治療室等の見直し」等が行われました。
これまでの「感染防止対策加算1、2」が「感染対策向上加算1、2」に改称され、新たに「感染対策向上加算3」が新設されました(図1)。感染対策向上加算1、2は入院初日に取れる点数で、感染対策向上加算1は710点と高く、2は175点です。新設の加算3は75点が入院初日と90日ごとに算定できます。
「感染対策向上加算」は、新型コロナウイルス感染症への対応から発展して新興感染症が起こった場合を想定した医療機関としての役割を強化したものになっています。具体的には、感染防止対策部門内に組織された感染制御チームによって、保健所および地域医師会と連携して「加算2」または「加算3」を取った医療機関と合同で少なくとも年4回程度定期的にカンファレンスを行うこと、そしてこのうち1回は新興感染症が発生した場合を想定した訓練を行うこととされています。その他にも、新興感染症発生時に都道府県の要請を受けて感染症患者を受け入れる体制を取ること、そして汚染区域や清潔区域のゾーニングを行うことができる体制を取ることなど、かなり具体的な新興感染症対策が求められています。
さらに、「加算1」の医療機関の専従医師または看護師が、「加算2」「加算3」または「外来感染対策向上加算」の医療機関に出向いて助言を行った場合の「指導強化加算」や、「加算2」または「加算3」の医療機関が「加算1」の医療機関に感染症の発生状況や抗菌薬の使用状況等の報告を行った場合の「連携強化加算」などが新設されました。
図1 「感染対策向上加算」への改称
厚生労働省 令和4年度診療報酬改定の概要-全体版.より引用
詳細は、厚生労働省ホームページ「令和4年度診療報酬改定について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html)の該当頁を参照。
「急性期充実体制加算」は、急性期一般入院医療1の届出医療機関に対する機能強化の推進のために新設されました(図2)。主な算定要件として、
①全身麻酔による手術2,000件/年以上(緊急手術350件/年以上)、または300床未満病院の場合は6.5件/年/床以上(緊急手術1.15 件/年以上)等の実績
②紹介受診重点医療機関か紹介割合50%以上かつ逆紹介割合30‰(パーミル単位)以上等が挙げられています。
さらにこの加算では、感染対策向上加算1(前出)の届出が要件となっていることから、新型コロナウイルス感染拡大で見えてきた高度急性期医療の脆弱さへの対応と、新興感染症への備えとしての急性期医療機関の役割強化の側面が見えてきます。急性期充実体制加算の届出を行う医療機関には、感染対策を通じた地域医療の質向上に貢献していく責務が課せられていることになります。
図2 急性期充実体制加算
厚生労働省 令和4年度診療報酬改定の概要-全体版.より引用
詳細は、厚生労働省ホームページ「令和4年度診療報酬改定について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html)の該当頁を参照。
「重症患者対応体制強化加算」は、特定集中治療室のさらなる手厚い人員配置を評価するものです(図3)。集中治療における早期回復への取り組みを強化するとともに、新型コロナウイルス感染症等の緊急時に即座に対応できる人材の育成のために高い評価となりました。
さらに、施設基準として「地域の医療機関等が主催する集中治療を必要とする患者の看護に関する研修に講師として参加するなど、地域における集中治療の質の向上を目的として、地域の医療機関等と協働することが望ましい」という項目が盛り込まれています。地域全体の医療の質向上に向けた取り組みも、その責務の1つとして評価されることも注目しておきたい点です。
図3 重症患者対応体制強化加算
厚生労働省 令和4年度診療報酬改定の概要-全体版.より引用
詳細は、厚生労働省ホームページ「令和4年度診療報酬改定について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html)の該当頁を参照。
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