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2025年6月公開
HPNでの投与経路と投与方法
伊藤智恵子
医療法人財団健和会
北千住訪問看護ステーション
所長
HPNで用いる中心静脈カテーテルには、体外式カテーテルと、皮下埋め込み式カテーテル(CVポート)の2つの種類があります。
1)体外式カテーテル
体外式カテーテルは、カテーテルの先端が心臓近くの静脈に留置されていますが、末端は体外に固定されています(図1)。
体外式カテーテルのなかでも、末梢挿入型中心静脈カテーテルはPICC(peripherally inserted central catheter)と呼ばれます。肘または上腕の静脈を穿刺し、上大静脈内に先端を留置します(図2)。他の中心静脈カテーテルと比較して、腕から比較的簡単に挿入でき、挿入後の感染などのリスクも少ないのが特徴です。
図1 体外式カテーテルの留置イメージ
図2 末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)の留置イメージ
2)皮下埋め込み式カテーテル(CVポート)
CVポートは、カテーテルとポートが完全に皮下に埋め込まれています。皮膚表面からポートにヒューバー針を穿刺し、体内に補液や薬剤を点滴することができます。
セプタム部分はシリコンで作られており、抜針すると自然に穴が閉じるしくみになっています。1度埋め込んだポートに穿刺/抜針を繰り返し行うため、セプタムが削り取られてしまう「コアリング」を避けるため、先端が弯曲したヒューバー針を使用します。
図3 CVポートの留置イメージ
***
体外式カテーテルとCVポートのメリット・デメリットを表1にまとめます。HPNでは、安全性やQOLの観点から、現在は皮下埋め込み式の「CVポート」が主流です。
表1 カテーテルの分類とメリット・デメリット
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体外式カテーテル | CVポート | |
---|---|---|
メリット | ・輸液の交換、接続時に痛みを伴わない ・カテーテル挿入や抜去時の処置は、皮下埋め込み式に比べると大がかりではない |
・穿刺針を抜いた状態では体外露出部がなく、外見上目立ちにくい ・入浴時のカテーテルの保護や定期的なガーゼ交換が不要 |
デメリット | ・カテーテルが外見上目立つ ・入浴時のカテーテルの保護や定期的なガーゼ交換が必要 |
・輸液の針刺しの際、毎回痛みを伴う ・留置や抜去の手術が大がかり ・脂肪が薄いと、ポートの分、皮膚が薄くなり、皮膚壊疽を起こすリスクがある |
投与方法は、持続投与と間欠投与に分けられます(表2)。
表2 投与方法
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持続投与 | 間欠投与 | |
---|---|---|
方法 | 24時間連続 | 6~12時間点滴、残りの時間は点滴を外す |
主な対象の例 | ・血糖値のコントロールが難しい場合 ・心臓・肺・腎臓の機能が低下している場合 など |
・病態(容態)が安定しており、日中活動することが多い場合 など |
特徴 | ・ルート交換が週1~2回で済む | ・点滴を外せる時間があり、外出や入浴に制限が出にくい ・ルート交換は毎日必要 |
©DEARCARE Co., Ltd.