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2017年5月公開
(1)看護師が行う日常生活援助技術とポジショニング
田中マキ子
山口県立大学副学長
山口県立大学大学院 健康福祉学研究科 教授
日常生活援助技術を提供するとき、私たち看護師はどれだけプロの技であることを意識し、または研鑽的視点をもって行っているでしょうか。看護行為に対する評価は、難易度や提供者の経験の有無にかかわらず、一律一様なものに終わっているように思われます。そこで私たちは、プロの技としてどのような効果があり、患者に満足感を与えることができているかどうかをリフレクションする必要があるでしょう。そのような振り返りのなかで、さらに看護行為をブラッシュアップするための重要な要素の一つとして「体位管理」が挙げられるのではないかと思います。
あらためていくつかの看護行為を見てみると、基礎看護技術のベースとして「安楽な体位の保持」や「体位の工夫」などが見られることがわかります(表1)。 このほかに、人工呼吸器装着患者、摂食嚥下リハビリテーションを行っている患者に対するポジショニングなど、臨床の多くの場面で適切なポジショニング技術が求められています。
表1 基礎看護技術の実施上の留意点におけるポジショニングに関連した項目
洗髪 |
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口腔ケア |
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日常生活援助のための看護行為にはさまざまな手順が必要とされます。そのため、基本となる「体位管理」の要素が看護師に十分意識されていないことが多いように思われます。さらに、患者は麻痺や拘縮等によりさまざまな制限要因を持っています。日常生活援助における「体位」の調整は個別性に左右される部分が大きいように思われがちです。しかし、基本的な考え方や方法は共通しています。そのうえで、個々の患者に応じた「コツ」や「わざ」があることを認識していただきたいと思います。
本特集では、こうした基本的な看護技術におけるポジショニングの考え方を踏まえて、ポジショニング技術の基本について解説していきます。
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ポジショニングの手技動画10本が今すぐ見られます。
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