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2017年12月公開
(1)ドレッシング材の基本的な考え方と分類
ドレッシング材は、「創における湿潤環境形成を目的とした近代的な創傷被覆材をいい、従来のガーゼは除く」と定義されています(日本褥瘡学会)。この定義のように、ドレッシング材は「湿潤環境」を形成するために用いられるものです。湿潤環境を保持することで創傷治癒を促すことを「湿潤環境下治癒(moist wound healing)」といいます。「痂皮の下」よりも「湿潤閉鎖感環境」の下のほうが上皮化が速く進むことが明らかになったのは、1962年のGeorge D. Winterの報告からです1。その後、多くの研究によって、ドレッシング材による湿潤環境ドレッシングのほうが、通常のガーゼによるwet-to-dryドレッシングよりも、創閉鎖までの時間が短縮されることが証明されてきました2。湿潤環境が形成されることによって以下のようなことが可能になるといわれています。①壊死組織の溶解を促進する、②成長因子の遊走を助ける、③創の痛みを軽減する。そのため褥瘡治療では、乾燥した創部に湿潤環境をつくるために、湿潤閉鎖ドレッシングを使うことが大原則となります。
褥瘡予防・管理ガイドラインでは、褥瘡状態経過評価表DESIGN-R®の各項目に沿って、治療・ケア方法を示しています。項目とは、「深さ(D)」「滲出液(E)」「感染・炎症(I)」「肉芽組織(G)」「壊死組織(N)」「ポケット(P)」です。それぞれ「大文字」を「小文字」にするアプローチが行われます。ドレッシング材も、それぞれの項目に沿って選択され、適切に使われることが望まれます。
引用文献
1. Winter GD. Formation of the scab and the rate of epithelization of superficial wounds in the skin of the young domestic pig. Nature1962: 193: 293-294.
2. Cannon GA, Garrett AB. Moist Wound Healing with Occlusive Dressings. A Clinical Review. Dermatol Surg 1995; 21(7): 583-590.
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