※パスワードの変更もこちらから
2020年6月15日公開
「働き方改革」にかかわる項目
『エキスパートナース』編集部
救急医療機関の勤務医の働き方改革への取り組みを評価したものとして「地域医療体制確保加算」が新設されました。
(新)地域医療体制確保加算 520点(入院初日に限る)
これは、過酷な勤務環境となっている地域の救急医療体制において、適切な労務管理等を行うことを評価したものです。対象となるのは、急性期一般入院基本料(看護配置7対1または10対1)や救命救急入院料などを算定している病棟です。算定要件としては、以下のようなものが挙げられています。
①救急車、救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年間2000件以上あること
②病院勤務医の負担軽減、処遇改善に資する体制を整備していること
上記②に関しては、医師の勤務状況を把握して改善の必要性について提言する責任者の配置や、負担軽減および処遇の改善について計画を立てること等が要件とされています。
この計画の内容として、医師と医療関係職種の役割分担の具体的内容、連続当直を行わない勤務体制、勤務間インターバルの確保、予定手術前日の当直や夜勤に対する配慮などの項目を盛り込むこととされています。
経営に与えるインパクトは大きく、例えば400床の急性期病院で施設基準を満たしていれば概算で年間5000万円近く増収になると予測されます。
タスク・シェアリング、タスク・シフティングの観点からは、「医師事務作業補助者の配置」「看護職員の夜間配置」「看護補助者の配置」に係る評価の充実が挙げられます。この中で医師の働き方改革に関するものは「医師事務作業補助体制加算」です。
■医師事務作業補助者の配置に係る評価の充実
ここ数年、医療現場におけるメディカルクラークなどの配置が評価されてきましたが、本改定では加算1、2ともに一律50点以上のアップとなりました。同時に算定可能な病棟が拡大し、回復期リハビリテーション病棟(療養病棟)や地域包括ケア病棟や有床診療所でも算定できるようになりました。
医師事務作業補助体制加算1248~970点
医師事務作業補助体制加算2233~910点
【新たに算定可能となる入院料】
回復期リハビリテーション病棟入院料(療養病棟)、地域包括ケア病棟入院料/入院医療管理料(療養病棟)、結核病棟入院基本料、有床診療所入院基本料、精神療養病棟入院料等
■「看護職員の夜間配置」「看護補助者の配置」に係る評価の充実
看護職員の負担軽減、看護補助者との業務分担・協働を推進する観点から、以下の項目が充実されました。
25対1急性期看護補助体制加算(看護補助者5割以上)240点
25対1急性期看護補助体制加算(看護補助者5割未満)220点
50対1急性期看護補助体制加算200点
75対1急性期看護補助体制加算160点
夜間30対1急性期看護補助体制加算120点
夜間50対1急性期看護補助体制加算115点
夜間100対1急性期看護補助体制加算100点
看護補助加算1141点
看護補助加算2116点
看護補助加算388点
夜間75対1看護補助加算50点
夜間看護加算(療養病棟入院基本料の注加算)45点
14日以内の期間141点
15日以上30日以内の期間116点
看護補助者配置加算(地域包括ケア病棟入院料の注加算)160点
総合的かつ専門的な急性期医療を提供する病院を評価する「総合入院体制加算」の要件の見直しも行われました。
1つは、「医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に関する計画」の見直しです。施設基準として、以下のように変更されました(青字が変更箇所)。
「医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する計画」には、次に掲げる項目のうち少なくとも3項目以上を含んでいること。
(イ) 外来診療時間の短縮、地域の他の保険医療機関との連携などの外来縮小の取り組み(許可病床数400床以上の病院は必ず含むこと)
(ロ) 院内保育所の設置(夜間帯の保育や病児保育を含むことが望ましい)
(ハ) 医師事務作業補助者の配置による医師の事務作業の負担軽減
(ニ) 医師の時間外・休日・深夜の対応の負担軽減及び処遇改善
(ホ) 特定行為研修修了者である看護師の複数名配置及び活用による医師の負担軽減
(ヘ) 院内助産又は助産師外来の開設による医師の負担軽減
(ト) 看護補助者の配置による看護職員の負担軽減
ここで、「特定行為研修修了者である看護師の複数名配置及び活用による医師の負担軽減」が挙げられ、“看護師の特定行為研修”が評価されたことの意味は大きいと言えます。
麻酔科領域における医師の働き方改革の推進として、「麻酔管理料(Ⅱ)」の算定要件の見直しが行われました。(青字が変更箇所)
1つは、麻酔前後の診察について、当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医が実施した場合についても算定できるように見直されたことです。
もう1つは、麻酔を担当する医師の一部の行為を、適切な研修(特定行為研修)を修了した看護師が実施しても算定できるように見直されたことで、ここでも“看護師の特定行為研修(麻酔中の患者の看護に係る研修)”が評価されました。「担当医師が実施する一部の行為」とは、麻酔の維持や導入の際のライン確保等とされています。
[算定要件]
[施設基準](新設)
©DEARCARE Co., Ltd.