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2020年9月公開
私たちが“身体拘束”に関して基本的に考えていること
執筆:大誠会認知症サポートチーム
NHK「クローズアップ現代プラス」では、2019年に2度にわたり、一般病院における身体拘束に関する特集を組みました。この中で当院は身体拘束ゼロの病院として紹介されました。この番組では、内田病院に来る前の病院で入院中に身体拘束されていて、当院転院後に拘束を解除された患者さんとご家族も出演しました。当院で実際に身体拘束模擬体験をされたアナウンサーは以下のような感想を述べています。
「身体拘束は身体の苦痛だけでなく、もののように扱われる、悪者扱いされる、というメンタルへの影響が、これほどきついのかと驚きました」――これこそが、私たちが知らなければならない、本当の“縛られる恐怖”かもしれません。体が苦しい以上に心が苦しくて情けなくて、切なくて不安で恐怖で・・・・・・。いつ終わるともわからない拘束に患者さんは苦しみ続けます。しかも、身体拘束はずっと続く可能性があります。
まず、お断りしておきたいのは、私たちは、急性期治療の時期からすべての状況において身体拘束をゼロにすることができると思っているわけではないということです。超急性期医療の現場では、身体拘束ゼロは難しいと言えます。身体拘束ゼロにすることで、チューブやラインの自己抜去が起こり、患者さんの生命が危険な状態にさらされるような場では、身体拘束せざるを得ないのです。そのことは十分に承知したうえで、不必要な身体拘束をやめるためには、私たち医療従事者の「意識改革」と、そのための「テクニック」が必要であると考えているのです。
そして、どんな急性期であっても、経過をみて身体拘束を解除する可能性があることは、患者さんや家族に約束すべきではないでしょうか。「〇〇の治療が落ち着いたらその拘束を外しますよ」と記載して示すことや、退院時の看護サマリーや医師の紹介状等に明記するなどの方法です。さらには、急性期でも身体拘束が外せないかどうか、常にカンファレンスを繰り返す努力が必要だと思います。
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