※パスワードの変更もこちらから
2020年11月公開
新設された「排尿自立支援加算」とは
執筆:『エキスパートナース』編集部
「排尿自立」とは、「排尿管理方法は問わず、自力で排尿管理が完結できること」を言います1。そして、「排尿自立を促す」かかわりは、診療報酬上の言葉では、「下部尿路機能の回復のための包括的な排尿ケア」となります。包括的排尿ケアの評価は、前回(平成28年度)の診療報酬改定の際の「排尿自立指導料」では、“特掲診療料”の中の「医学管理等」として入院中に限り認められていました。
それが、今回(令和2年度)の診療報酬改定では、入院患者の包括的排尿ケアの評価は、“基本診療料”として「排尿自立支援加算」の名称に変わりました。評価自体は「週1回、保険点数200点」で変わりませんが、「基本診療料」に位置づけられた点で大きな違いがあります。「基本診療料」は、「医療行為を行う上で“必ず”算定する点数」だからです(表1、2)。
表1「排尿自立支援加算」となって変わった点
表2 排尿自立支援加算
〈告示〉
令和2年3月5日 厚生労働省告示第57号
第1章 基本診療料
第2部 入院料等
第2節 入院基本料等加算
A251 排尿自立支援加算(週1回) 200点
注 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は第3節の特定入院料のうち、排尿自立支援加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)であって別に厚生労働大臣が定めるものに対して、包括的な排尿ケアを行った場合に、患者1人につき、週1回に限り12週を限度として所定点数に加算する。
さらに、今回の改定では、算定可能となる入院料が拡大され、「回復期リハビリテーション病棟入院料」や「地域包括ケア病棟入院料」での算定が可能になりました(表3)。これは、前回の排尿自立指導料のときには算定の対象とならなかった回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟を持つ医療機関にとっては大きなメリットです。
表3 排尿自立支援加算算定可能な入院料
従来から算定可能な入院料 | 一般病棟入院基本料、療養病棟入院基本料、結核病棟入院基本料、精神病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料、専門病院入院基本料、障害者施設等入院基本料、有床診療所入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料、新生児治療回復室入院医療管理料、一類感染症患者入院医療管理料、特殊疾患入院医療管理料 |
新たに算定可能になった入院料 | 回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料、特殊疾患病棟入院料、緩和ケア病棟入院料、精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神科救急・合併症入院料、児童・思春期精神科入院医療管理料、精神療養病棟入院料、認知症治療病棟入院料、特定一般病棟入院料、地域移行機能強化病棟入院料、小児入院医療管理料 |
算定の対象となる患者は、前回の排尿自立指導料と同様です(表4)。
表4 排尿自立支援加算対象患者
©DEARCARE Co., Ltd.