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2022年4月公開
BLSの進め方③~CPRの開始:胸骨圧迫、人工呼吸
『エキスパートナース』編集部
CPRとは「胸骨圧迫」と「人工呼吸」を組み合わせた「心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation)」のことです。CPRでは、まず胸骨圧迫から開始します。
胸骨圧迫は、胸骨の下半分を約5cmの深さで、ただし6cmを超えないくらいに、胸が沈む強さで圧迫します。テンポは1分間当たり100~120回です(図1)。注意したいのは「リコイル」を意識することです。リコイルとは、胸骨圧迫の後、胸壁が元の高さまで完全に戻るように圧迫を解除することです(図2)。ただし、このリコイルを意識し過ぎると胸骨圧迫が浅くなってしまうため要注意です。小児の場合は、圧迫の深さは胸の厚さの約3分の1が目安になります。
CPRは基本的に背側に固い支持面を敷いたほうが効果があるので、ベッド上で行う場合はマットレスを「CPRモード」に切り替えて行うことが推奨されています。
図1 胸骨圧迫の方法
図2 リコイルを意識する
胸骨圧迫の後、胸壁が元の高さまで完全に戻るように圧迫を解除する
人工呼吸の準備が整ったら、人工呼吸を開始します。このときの胸骨圧迫と人工呼吸の比率は30:2です。
医療機関内では、バッグバルブマスクを使った人工呼吸を行います。人工呼吸を行う際には気道確保が必要になるため、前章で紹介した頭部後屈あご先挙上法か下顎挙上法により気道確保を行います。
人工呼吸は、バッグバルブマスクを用いて高流量の酸素を投与しながら約1秒かけて胸が上がる程度の換気量を2回送気します。その間は胸骨圧迫を止めておきますが、止めておく時間は10秒以内で、必要以上に長くならないようにします。2回の人工呼吸(換気)が終わったらすみやかに胸骨圧迫を再開し、30回圧迫を行います(図3)。胸骨圧迫を一時中断して人工呼吸を行う方法を「同期CPR」と呼びます。
図3 同期CPRの方法
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