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2021年7月公開
執筆:鈴木航太
(ドクターメイト株式会社・精神科医)
高齢化に伴い、認知症の患者さんが増えてきています。認知機能の低下に伴って出現してくる行動障害や精神症状は、患者さんにとっても介護者にとってもとても辛いもので、介護を続けていくうえでの障害にもなります。今回は、施設や在宅でよく遭遇する、認知症患者さんの困った精神症状であるBPSDへの対応法について解説をしていきます。
Q. 認知症の患者さんで、不穏症状がよくみられます。最近よく耳にする「BPSD」というものなのでしょうか?せん妄とは何が異なるのでしょうか。
A. 認知症患者さんにおいて、興奮したり落ち着かなく歩き回ったりといった不穏症状はよくみられます。むしろ物忘れそのものよりも、はるかに困っている方も多いのではないでしょうか。認知症患者さんでみられるこのような症状は…
Q. 興奮して大きな声を出されたり、逆に沈み込んでしまったりと、患者さんによっていろいろな方がいらっしゃいます。これらもすべてBPSDなのでしょうか?
A. BPSDの症状は、患者さんの状態や認知症の進行時期などによってさまざまなものがみられます。ここでは、BPSDの症状を①活動亢進・興奮、②幻覚・妄想、③不安・うつ状態、④睡眠障害の4つに分類し、それぞれについて解説をしていきます。
Q. 患者さんにBPSDと思われる症状がみられた際に、私たちはまずどのような対応をとればよいでしょうか。
A. 例えば眠れない患者さんにいきなり睡眠薬を使用するようなことはせずに、まずは薬に頼らない方法(非薬物療法)を検討します。さまざまな方法がありますが、前述したように、本人の好みや向き不向きもあるので、画一的な方法ではなく、本人の反応を見ながら試してみるのがよいでしょう。
Q. 声かけや行動療法といった非薬物療法だけではなかなか症状が治まらない患者さんがいて本人も私たちも辛いです。お薬で症状を改善することはできますか?
A. 先ほどご説明したようにBPSDにはまずは薬に頼らない方法を検討しますが、非薬物療法的な介入では改善せず、本人や介護者の苦痛や安全性に問題が生じた場合、薬物療法が必要になることがあります。BPSDに対してよく使われる薬についてまとめます(表1)。
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■この連載記事について
~Special Interview “介護”のすぐそばに“医療”がある安心を!~
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