Part5CAPD(連続携行式腹膜透析)の実際の進め方

公益財団法人丹後中央病院看護部
慢性疾患看護専門看護師
本井 裕二

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2023年7月公開

1.CAPD(連続携行式腹膜透析)とは

連続携行式腹膜透析(continuous ambulatory peritoneal dialysis:CAPD)は、「連続携行式腹膜透析」と訳される腹膜透析の標準的な治療法で、腹膜透析カテーテルから腹腔内に透析液を注入するものです。透析液は、透析液交換の短時間を除いて常に腹腔内に貯留した状態にあり、1日24時間、週7日間連続して緩徐な透析を行うことができます(図1)。

図1CAPDの基本的システム構成(ツインバッグシステム)
図1 CAPDの基本的システム構成(ツインバッグシステム)
1腹膜透析カテーテル
  • カテーテル挿入術をもちいてPD開始前に腹腔内に留置される
  • カテーテル部はシリコン製。抜去防止のためのダクロン繊維製のカフが通常2か所にある(内部・外部カフ)
  • さまざまな形状のカテーテルがある
2アダプター
  • 腹膜透析カテーテルと接続チューブの連結のために使用される
  • カテーテル挿入術時に装着される
3接続チューブ
  • 腹膜透析カテーテルと透析液を接続する部分
  • 透析液バッグと腹腔のあいだを閉鎖回路にすることができる
  • 定期的な交換が必要である
4ツインバッグシステム
  • 透析液バッグと排液バッグが一体化したシステム
  • 接続部位が1か所だけなので、操作が簡便で感染予防に有効である
  • CAPDでの透析液交換システムの主流となっている

川口良人,伊藤恭彦,窪田実,他監修:PD Nurse College基礎コーステキスト.バクスター,2020:169.を参考に作成
https://www.baxterpro.jp/ebook/nurse_c/basic?pNo=1(2022/10/1アクセス)

透析効率は時間の経過とともに低下するため、透析液を1日に数回交換する必要があります。1回の透析液交換に要する時間は30~40分程度です。透析液の交換は手動で行われますが、高齢者や手指の不自由な患者、視力障害のある患者等に対しては、補助のためのデバイス(腹膜透析接続装置)を利用することが多いです(図2)。1回あたりに注入される透析液の量は0.5~2.5L(一般的には1.5~2.0L)であり、1日に3~5回透析液の交換を行います。

図2腹膜透析接続装置(2製品ともバクスター株式会社)

UVフラッシュオート くり~んフラッシュ

つなぐ

バクスター株式会社「JPRC48220003V1」より転載

交換のタイミングとしては、起床時、昼食の前後、夕食の前後、就寝時が一般的です。日中の透析液貯留時間は4~6時間、夜間は7~10時間となります(図3)。透析処方(1回あたりの透析液の量、交換回数、貯留時間、交換のタイミングなど)は、①腹膜機能(水や溶質の移動のしやすさ)、②残存腎機能(尿量)、③体格、④ 医学的な状況(例:腰痛、透析液の漏出など)、⑤個人の好みやライフスタイルを総合的に勘案して決定されます。
CAPDが適応となるのは、表1に示したような患者です。

図3CAPDの治療パターン例
図3 CAPDの治療パターン例

表1  CAPDが適応となる患者

  1. 1腹膜機能が平均的あるいは低い患者
  2. 2体格が比較的大きな患者
  3. 3残存腎機能が保持されている患者
  4. 4APDサイクラーの操作が困難もしくはサイクラーの使用を好まない患者
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