利用者の急な状態変化にも慌てず対応するためのエッセンスをぎゅっと凝縮
医療法人社団 YAYOI
やよい在宅クリニック
やよい訪問看護ステーション
(管理者)、看護部長
診療看護師/ナース・プラクティショナー
野呂 美香 先生
2025年4月公開
在宅診療の発展に伴い自宅で療養する利用者が増えつつある現代、実にさまざまなバックグラウンドをもった利用者が自宅で生活を送っています。
まず大前提として、在宅の利用者は自宅で普通に「生活」をしているということを忘れてはいけません。病院が患者を迎え入れる側だとすると、在宅は利用者宅に医療従事者がお邪魔するというスタイルです。利用者が日常生活を送るなかで、いかにストレスなく自宅で診療や看護を受けることができるかに重きを置き、治療内容も積極的な治療から緩和治療まで実に幅広いことが、在宅の最大の特徴です。
在宅の場は、病院とは異なり、医療従事者が常駐して必要な検査や治療が受けられるわけではありません。自宅で具合が悪くなった際に、在宅で療養を継続するか搬送するか、搬送する場合は不可逆的な病態でも搬送を希望するのかなど、事前に本人、家族の意思を確認しておくことが非常に重要です。私たち在宅にかかわる医療従事者は、このACP(アドバンス・ケア・プランニング:advance care planning)を軸として、診療方針や看護プランを立案提供しています。とても大切なプロセスなのです。
もちろん、最初からACPがしっかり決まっている利用者や家族ばかりではありません。日々悩みながら療養されており、さまざまな変化があるなかで何度も話し合いながらACPを決定していく方も多くいます。途中、気持ちが変わっても何も問題はなく、「ご希望に沿って私たちはお手伝いしていきます」と丁寧に説明することがとても大切であり、利用者、家族との信頼関係の構築につながると考えています。
Key wordアドバンス・ケア・プランニング(ACP)
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は、「個人の年齢や健康状態にかかわらず、すべての人が価値、人生のゴール、あるいは望む将来の医療ケアについて理解し共有することを支援するプロセス」と定義されています1。ACPの目的は、自身が重篤な疾患に罹患した際に意思決定・意思表示ができない状態となったときでも、本人の価値やゴール、希望に沿った医療・ケアを確実に受けることができるようにサポートすることです。自身が意思決定できない場合は、代わりに決定してくれる人を選び、準備することも、ACPに含まれます。
特に高齢者は、時間の経過とともに意思決定能力が低下し、本人の気持ちのゆらぎや、家族など代諾者の役割が大きくなります。よって、できれば自身で決定ができる早期から、ACPの確認を開始することが望まれます。
横倉義武,大島伸一,辻哲夫,新田國夫監修,蘆野吉和,太田秀樹編:在宅医療: 治し支える医療の概念と実践.中央法規出版,東京,2024:160.より引用
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