利用者の急な状態変化にも慌てず対応するためのエッセンスをぎゅっと凝縮
医療法人社団 YAYOI
やよい在宅クリニック
やよい訪問看護ステーション
(管理者)、看護部長
診療看護師/ナース・プラクティショナー
野呂 美香 先生
2025年4月公開
押さえておこう【アナフィラキシーショックへの対応】
「朝に桃を食べたあとから呼吸が苦しい感じがする」と、本人より電話があり訪問した。訪問すると、蕁麻疹と嘔気症状があり、血圧低下も認めた。
アレルギーの確認は、初診の情報収集で行っている施設が多いと思います。ですが、まれに意図的でなく摂取してしまったり、新しい食べ物でアレルギー症状が出る場合があります。
重要なのは、緊急性のあるアレルギー症状かどうかを判断することです。軽度の発疹や掻痒感であれば、抗アレルギー薬で経過をみることもできます。急がなければならないのは、アナフィラキシー、またアナフィラキシーショックです。どのように判別したらいいでしょう。
まずはアナフィラキシーの特徴を押さえておきましょう。ショック症状があれば対症療法を在宅で行いつつ、医療機関への搬送になります。アドレナリン自己注射薬(製品例:エピペン)を持っている利用者にはそちらを投与し、搬送準備をします。
〈対応の流れ〉
アナフィラキシー症状があり、かつ、ショックバイタルである場合は緊急と判断し、搬送、入院治療が必要です。
Key wordアナフィラキシー
日本アレルギー学会では、アナフィラキシーについて以下のように定義しています。
「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」
アナフィラキシーの症状とパターンを表1、表2に示します1。
表1 アナフィラキシー症状
上田剛士監修,高岸勝繁著:ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第3版.シーニュ,東京,2024:964.より引用
表2 アナフィラキシーのパターン
上田剛士監修,高岸勝繁著:ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第3版.シーニュ,東京,2024:964.より引用
Key wordショック
ショックは、組織への酸素需要の低下、酸素消費の増加などの結果で起こる臓器の低酸素症です。血圧低下を伴うことが多くあります。血圧低下以外の症状としては、尿量低下、意識障害、皮膚異常所見(網状皮疹、冷汗)、消化器症状などであり、多臓器不全徴候を見逃さないことが重要です。
早期対応が遅れると可逆的な状態から不可逆的な多臓器不全へ移行するため、早期発見と対応が非常に重要です。
以下に示すショックの5徴候(図1)を見落とさないようにしましょう。
①皮膚蒼白、②虚脱、③脈拍微弱、④冷汗、⑤呼吸不全
ショックは以下の4つに大別されます2。
引用文献
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