利用者の急な状態変化にも慌てず対応するためのエッセンスをぎゅっと凝縮
医療法人社団 YAYOI
やよい在宅クリニック
やよい訪問看護ステーション
(管理者)、看護部長
診療看護師/ナース・プラクティショナー
野呂 美香 先生
2025年4月公開
すべての症例において、自宅で状態が悪化した場合、あるいは予期せぬ急変が起こった場合に、自宅で療養を継続するのか、搬送するのか、かかわる職種と家族全体で共通理解しておくことが最も重要です。冒頭でも述べたとおり、ACPをしっかり確認していくということにつながります。
在宅は基本的に、車や自転車で利用者宅へ訪問し、診療や看護を提供しています。何か検査の物品が足りないなどの事態が発生した場合は、クリニックに取りに戻るか、届けてもらうしかありません。時間・人的コストが発生するため、極力忘れ物は控えたいところです。
予防策として、当ステーションでは、持参することが決まっているもの(処置物品、点滴物品など)は、Googleスプレッドシートで管理し、朝のカンファレンスなどで読み上げて全体周知をしています。
また、突発的な検査が入って、必要な物品がない、という事態が起こることもあります。あらかじめ、同行医師と検査の予定などをすり合わせておくと、不足物品がないという事態が起こりにくくなります。協力して診療を行ううえで、コミュニケーションは非常に大切です。
忘れ物によって起こる悪影響
対策
忙しいと、ついつい口調も荒目になってしまいますが、そういったときにミスは起こりやすいです。周りを落ちついて把握して動けるように、すこし俯瞰して物事を見る癖をつけるとよいでしょう。
医療従事者がどことなく不安げだと、それはそのまま家族へ伝わります。不安な医療従事者が発する発言には、説得力や安心感はありません。たとえ気持ちが焦って落ち着かなくとも、利用者、家族の前ではどんと構えて対応しましょう。
病院もですが、在宅もチームワークが非常に重要になってきます。また、在宅は退院がありませんので、長いお付き合いになる利用者、家族もいます。自分ひとりで抱えられる情報量ではないのです。
何か困ったとき、トラブル時は、抱え込まずにチームのリーダーや医師と積極的にコミュニケーションを取り、情報共有をしましょう。
医療従事者は自分たちの視野で物を見がちです。看護師は看護師の、医師は医師の、それ以外の専門職や介護職も同様です。
そうするとどうしても、どこかで衝突が起こります。自分たちが考える方向性や考えと、他職種が考えるものが合致しないと、ストレスとなってしまうからです。また、同じ事柄に対して、利用者、家族の立場からの見え方もまた違うものでしょう。
大事なことは、考え方や見え方は一つではないということです。よって、自分の考えだけが正しいと思わず、いろいろな視座をもち、治療、ケアに当たることが非常に大切であると感じます。
在宅、特に急変時はチームプレーがものを言います。利用者、家族もまたチームの一員です。
しっかり日頃からコミュニケーションを取り、いざというときが来ても焦らず対応できるように、準備しておくことが大切です。
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