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2018年12月公開
(4)どのような身体拘束がよく行われているのか
『エキスパートナース』編集部
現場でよく行われている身体拘束についてみてみましょう。先に挙げた身体拘束の11項目のうちよく行われている身体拘束は、「ミトン型の手袋」「ベッドの回りを柵や壁で囲む」「Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブル」「介護衣(つなぎ服)」などの行為です(表1、図1)。
これらの項目は、病院でも介護施設でも同じ状況です。こうした身体拘束を実施している側の“意識”をみてみると、これらの行為について「理由を問わず避けるべき」と回答している人は少なく、「やむを得ない場合は許容される」と考えていることがわかります。
表1 身体拘束11項目の実施割合(%)
身体拘束行為 | 一般病棟 (7:1 /10:1) |
一般病棟 (13:1 /15:1) |
①徘徊しないように、車いす・いす・ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る | 51.7 | 31.6 |
②転落しないように体幹や四肢をひも等で縛る | 57.9 | 21.1 |
③ベッドの四方を柵や壁で囲む | 80.7 | 78.9 |
④チューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る | 63.8 | 47.7 |
⑤手指の機能を制限するミトン型の手袋等 | 86.2 | 73.7 |
⑥Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける | 72.4 | 68.4 |
⑦立ち上がりを妨げるようないすを使用 | 36.2 | 42.1 |
⑧介護衣(つなぎ服)を着せる | 62.1 | 73.7 |
⑨他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る | 24.1 | 10.5 |
⑩向精神薬の多剤使用 | 58.6 | 15.8 |
⑪自分の意思で開けることのできない居室等に隔離 | 3.4 | 5.3 |
文献1より引用
図1 よく行われている身体拘束
文献
1.公益社団法人全日本病院協会:「身体拘束ゼロの実践に伴う課題に関する調査研究事業」報告書.2016.
https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/other/160408_2.pdf
©ALCARE Co., Ltd.