※パスワードの変更もこちらから
2021年4月更新(2020年2月公開)
PartⅡ 経腸食支援(Enteral Meal Support Care)
経腸栄養関連製品誤接続防止コネクタ導入について
水野英彰
医療法人社団悦伝会 目白第二病院
副院長
わが国では、点滴ラインと経腸栄養の誤接続による事故はほとんど報告されていません。しかし、世界では、経腸栄養の誤接続による事故が増加しているとされ、死亡例などの重大事故の発生も報告されています。そのため、経腸栄養の誤接続防止をはじめとした医療機器の接続に使用されるコネクタに関して新しい提案がなされました。これは、誤接続事故防止の観点から、異なる製品分野で使用されるそれぞれのコネクタが接続できないような提案です。
新しい経腸栄養用のコネクタは、“ISO 80369-3”という規格です(図1)。この新コネクタは、オスメス逆転の誤接続防止コネクタです。静脈注射や点滴などのコネクタと、オスメスが逆方向になっています。つまり、カテーテル側がオス型、シリンジや注入セットの注入側がメス型となっています。また、接続部はスクリュー式のロック機構が付いていて、接続が外れにくくなっています。わが国でも2019年には、この世界標準化の誤接続防止コネクタ(ISO80369-3)が導入され、既存のコネクタからの移行が進められています。既存のコネクタと比較して内腔が明らかに細くなっているため、両方の製品が混在する時期には、高粘度・半固形状流動食によるデバイス加圧法において、混乱を招く可能性があります。
ここで整理した知識を十分に活用して的確な経腸栄養食支援を継続していただき、業務上の都合で食支援手技や流動食粘度などの変更の際に、間違っても患者を不幸にするような事態だけは起こらないよう、十分に注意していただきたいと思います。
図1 経腸栄養関連製品誤接続防止コネクタ
文献1より引用.
*
超高齢社会における医療では、食支援はまさに“トータルケア”につながる重要な要素です。ただ、支援を受ける側のアウトカムを重視した対応を行うには、領域があまりに広く、難題も多いといえます。食支援のリーダー的存在である看護師の皆さんに、この特集が少しでも役に立ち、食支援の向上に寄与できることを望んでいます。
©DEARCARE Co., Ltd.