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2021年7月公開
感染症・災害への体制整備を推進
『エキスパートナース』編集部
今回の改定では、介護サービス事業者に以下の取り組みが義務づけられました。
●施設系サービスについて、現行の委員会の開催、指針の整備、研修の実施等に加え、訓練(シミュレーション)の実施
●その他のサービス(訪問系サービス、通所系サービス、短期入所系サービス、多機能系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援、居住系サービス)について、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等
※いずれも3年間の経過措置期間を設ける
施設系サービスでは、これまですでに委員会開催や指針整備、研修は義務づけられていましたが、感染症や災害発生時のシミュレーション訓練も新たに加わる形となりました。また、訪問や通所などその他のサービスでも同様の対応が義務づけられました。
今回のコロナ禍においては、介護現場で働く医療専門職以外の方は、標準予防策や消毒のしかたなど、基本的な感染に関する知識や技術が必ずしも十分ではなく、安全への懸念や不安の声も上がっていました。安定したサービス継続のためには、利用者だけでなくスタッフの安全を守ることも大切です。今回の改定によって、介護現場で働くスタッフは研修および訓練を必ず受ける形になるため、対応力の強化が期待できます。
具体的な項目について紹介します。
感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(以下「感染対策委員会」)については、おおむね半年に1回以上定期的に実施することが望ましいとされています。また、感染症の流行時期なども考慮して追加での開催も検討します。外部の専門家などにも積極的に参画してもらい、必要に応じて専任の感染対策担当者を決めることが求められます。
指針の整備にあたっては、厚生労働省から出されている「介護現場における感染対策の手引き」が参考になります(右図)。常日頃からの対策(事業所内の衛生管理、手指消毒や標準的な感染対策)、および、感染症発生時の対応(発生状況の把握、感染拡大防止、保健所等関係機関との連携、行政への報告など)を想定しての対応や、連絡体制の整備・明記が必要です。
研修においては、感染対策の基本的な知識の普及・啓発、指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケア方法の教育が求められます。組織的にスタッフに浸透させるためには、新規採用時、および、年1回以上の定期的な教育が望ましいとされています。
具体的に研修に活用できるコンテンツとして、厚生労働省の「介護保険サービス従事者向けの感染対策に関する研修」からアクセスできるeラーニングサイトがあります。感染症の基礎から発生時の対応までをオンラインで学ぶことができるため、活用するとよいでしょう。
厚生労働省:【介護施設・事業所の職員向け】感染症対策力向上のための研修教材配信サイト.
そして、感染症や災害が発生した際の訓練(シミュレーション)についても、年1回以上、定期的に行うことが求められています。役割分担やケアの演習など、実際の動きに加え机上シミュレーションなども適宜取り入れ、すべての従業員が参加できる環境で行うことが大切です。
すべての介護サービス事業者に対しては、業務継続に向けた計画策定も合わせて義務づけられました。必要なサービスを継続的に提供するため、また、仮に一時中断した際でも早期に再開できるよう、平時からの業務継続計画(Business Continuity Plan)の策定が求められています。
これら業務継続計画策定支援のために、2020年12月に厚生労働省から「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)ガイドライン」が公開されていますので、参考にしてください。新型コロナウイルス感染症発生時、および、自然災害発生時の2種類が公開されています。
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