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2026年10月公開
ADL評価に用いられる尺度―FIMとBI
山田実
筑波大学人間系 教授
FIMは1980年代に米国で開発されたADL評価尺度であり、患者が日常生活を送るうえでどの程度の介助を必要としているかを評価するために用いられます。採点指標と評価項目を表1に示します。評価の詳細については、次の章以降で解説します。
FIMは、現在では世界各国のリハビリテーション医療や介護分野で広く活用されており、日本においても回復期リハビリテーション病棟を中心に、標準的な評価指標として定着しています。リハビリテーション関連研究では、このFIMをアウトカム指標とした研究も多く、その臨床的意義については多くの医療従事者の支持を得ています。
表1 FIM
■評価項目
| 運動項目 | セルフケア | 食事 |
|---|---|---|
| 整容 | ||
| 清拭 | ||
| 更衣(上半身) | ||
| 更衣(下半身) | ||
| トイレ動作 | ||
| 排泄 | 排尿コントロール | |
| 排便コントロール | ||
| 移乗 | ベッド・椅子・車椅子 | |
| トイレ | ||
| 浴槽・シャワー | ||
| 移動 | 歩行・車椅子 | |
| 階段 | ||
| 認知項目 | コミュニケーション | 理解(聴覚・視覚) |
| 表出(音声・非音声) | ||
| 社会認識 | 社会的交流 | |
| 問題解決 | ||
| 記憶 |
■採点指標
| 自立 | 7点 | 完全自立 |
|---|---|---|
| 6点 | 修正自立 | |
| 部分介助 | 5点 | 監視・準備 |
| 介助あり | 4点 | 最小介助(介助の程度が25%未満) |
| 3点 | 中等度介助(介助の程度が25~50%未満) | |
| 完全介助 | 2点 | 最大介助(介助の程度が50~75%未満) |
| 1点 | 全介助(介助の程度が75%以上) |
FIMの特徴は、「何ができるか」を評価するのではなく、「どの程度の介助が必要か」を評価する点にあります。例えば、100m歩く能力を有していたとしても、転倒の危険性が高く見守りが必要であれば、自立とは評価されません。逆に、歩行器や手すりを使用していても、1人で安全に実施できるのであれば高い得点となります(図2)。このように、実際の生活場面における自立度を評価することがFIMの本質にあります。
図2 FIM評価の判断例
臨床現場では、ADL能力を評価する方法としてバーセルインデックス(Barthel Index:BI)も広く用いられています(表2)。2026年現在、介護報酬の「ADL維持等加算」の算定要件にBIによる評価が組み込まれているほか、高齢者の自立支援や機能の維持、重度化予防に対して効果的な取り組みができているかどうかのアウトカム評価にも用いられています。
BIは、各ADL項目について「できるか、できないか」を判定します。
関連コンテンツ►ディアケア プレミアム「ADLのアセスメント:バーセルインデックス(BI)」
表2 バーセルインデックス
| 項目 | 点数 | 判定基準 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 食事 | 10点 | 自立、自助具などの装着可、標準時間内に食べ終える |
| 5点 | 部分介助(例えば、おかずを切って細かくしてもらう) | ||
| 0点 | 全介助 | ||
| 2 | 車椅子からベッドへの移乗 | 15点 | 自立、ブレーキ、フットレストの操作も含む(非行自立も含む) |
| 10点 | 軽度の部分介助または監視を要する | ||
| 5点 | 座ることは可能であるがほぼ全介助 | ||
| 0点 | 全介助または不可能 | ||
| 3 | 整容 | 5点 | 自立(手洗い、洗顔、整髪、歯磨き、ひげ剃り) |
| 0点 | 部分介助または不可能 | ||
| 4 | トイレ動作 | 10点 | 自立(衣服の操作、後始末を含む、ポータブルトイレなどを使用している場合はその洗浄も含む) |
| 5点 | 部分介助、体を支える、衣服、後始末に介助を要する | ||
| 0点 | 全介助または不可能 | ||
| 5 | 入浴 | 5点 | 自立 |
| 0点 | 部分介助または不可能 | ||
| 6 | 平地歩行 | 15点 | 45m以上の歩行自立、補装具(車椅子、歩行器は除く)の使用の有無は問わず |
| 10点 | 介助または監視下で45m以上の歩行可能、歩行器の使用を含む | ||
| 5点 | 歩行不能の場合、車椅子にて45m以上の操作可能 | ||
| 0点 | 上記以外 | ||
| 7 | 階段昇降 | 10点 | 自立、手すりなどの使用の有無は問わない |
| 5点 | 介助または監視を要する | ||
| 0点 | 全介助または不可能 | ||
| 8 | 更衣 | 10点 | 自立、靴、ファスナー、装具の着脱を含む |
| 5点 | 部分介助、標準的な時間内、半分以上は自分で行える | ||
| 0点 | 上記以外 | ||
| 9 | 排便 コントロール |
10点 | 失禁なし、浣腸、坐薬の取り扱いも可能 |
| 5点 | ときに失禁あり、浣腸、坐薬の取り扱いに介助を要する者も含む | ||
| 0点 | 上記以外 | ||
| 10 | 排尿 コントロール |
10点 | 失禁なし、収尿器の取り扱いも可能 |
| 5点 | ときに失禁あり、収尿器の取り扱いに介助を要する者も含む | ||
| 0点 | 上記以外 | ||
FIMとBIの特徴を表3に示します。
BIは評価項目数が少なく簡便であるため、短時間で評価できる利点があります。一方で、評価段階が比較的粗く、小さな変化を捉えにくいという欠点があります。例えば、食事動作において「全介助から見守りへ改善した」という変化は、患者本人にとって大きな変化ですが、BIでは十分に反映されない場合があります。
その点、FIMでは介助量の変化が詳細に評価できるため、回復過程をより正確に把握することが可能です。FIMが、入院時評価、経過観察、退院時評価、在宅復帰予測、多職種連携など、多くの場面で活用されているのはそのためです。
また、評価項目を比較してみると、
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