デイサービス施設リポート

デイサービス とらい・あす

管理者 白坂 誉子先生

白坂先生は長い間、訪問看護に携わってこられましたが、昨年、デイサービスを自ら開設されました。開設までの経緯をお聞かせください。
白坂先生:訪問看護は、看護師などが病気や障害を持った人の家庭を訪問して、療養生活の支援や自立への援助を行うサービスですが、滞在時間に制限があるためケアマネージャーから居宅サービス計画として依頼されたサービスの提供が優先となり、療養者や家族の生活全体を十分に把握しているとはいえないことも多々ありました。そのため長時間預かる中で療養者の生活を把握し、直接支援したいと思い、デイサービスに興味を持つようになりました。
デイサービスでは1日施設で看護や介護できるため、要介護者の生活により関われるということですか。
白坂先生:その通りです。1日お預かりするため、生活行動を直接援助できます。また、療養者のご自宅へ伺う訪問看護では、通常ご家族は訪問時間にご自宅にいる必要がありますが、デイサービスは療養者が外出することになりますから、その間、介護するご家族は自由な時間を過ごすことができます。療養者ご本人は生活援助を受けながら社会的交流を持つこともできます。デイサービス自体はかなりの数ありますが、人工肛門や胃瘻の管理等の医療的管理や要介護4・5といった重度者の方々に対応できるデイサービスの数は限られており、それなら自分たちで作ろうと思い、2016年にデイサービスとらい・あすを開設しました。
とらい・あすの特徴や力を入れていることをお聞かせください。
白坂先生:とらい・あすは、地域密着型通所介護事業所で、定員は1日10名です。利用できる方は千葉県佐倉市在住で、要支援あるいは要介護認定を受けた方です。要介護度が高い高齢者が多く、平均年齢は84歳、最高齢は97歳です。私は摂食・嚥下障害看護認定看護師ですので、嚥下障害のある人への嚥下訓練や食形態の調整・指導なども行っています。また、高齢者の方は便秘の人が多く、ご自宅での排便コントロールに苦労されているので、排便環境の改善にも取り組んでいます。スタッフは私以外に看護師(機能訓練指導員)1名と介護福祉士(生活相談員)1名がおり、医療的処置(経管栄養、胃瘻栄養、床ずれの処置、在宅酸素療法、吸引・吸入、バルーンカテーテル留置など)が必要な人も利用できます。
デイサービスの内容を教えてください。
白坂先生:平日に日帰りの介護サービスを提供しています。 1日の流れとしては、朝に利用者様のご自宅に迎えに行き、施設では利用者様の健康状態を確認しながら、食事や入浴、機能訓練やレクリエーションを行い、夕方にはご自宅へ送ります。春には花見、夏には七夕会、秋には運動会、冬には新年会など季節を感じることのできる行事を多く取り入れ、利用者様に楽しんでもらっています。
要介護度が高い高齢者を多く受け入れていますね。
白坂先生:要介護度の高い方を受け入れる施設が少ないので、そのニーズに応えたいと思いました。要介護度の高い人でも、その人らしく、楽しく心地よい時間を過ごしてもらえるような場所にしたいと思っています。2階建ての民家をバリアフリーにして、要介護度の高い方も受け入れられるようにしました。
介護の場面で心がけている点や注意している点はありますか。
白坂先生:ご本人の希望を確認しながら援助を行い、できる限りご本人の選択や決定を尊重するよう心がけています。認知症患者の方のようにご本人への確認が難しい場合には、ご家族と情報交換しながら対応しています。また、機能訓練やリハビリは自宅でもできるように、できるだけ身近なものを利用しています。ご自宅での生活の様子を事前に確認させてもらい、より介護負担が軽減する介助方法を検討し、提案させていただくようにしています。例えば、自宅でも入浴している方の場合は、ご自宅のお風呂を見せていただき、その環境に合わせて入浴の方法を練習し、提案します。しかし、食事や排泄等の生活行動の援助の方法を急に変えてしまうことで混乱をきたす利用者様の場合は、ご本人だけでなく介護するご家族が苦労しますので、まずはご自宅での方法に近い形で援助を行うようにしています。
デイサービス利用者様の主治医やケアマネジャー、訪問介護のスタッフとの連携やコミュニケーションはどのように行っていますか。
白坂先生:基本的には、電話やFAXを使って直接やりとりをします。訪問看護を併用している利用者様については、ご家族との連絡帳を活用して利用者様の情報を共有しています。例えば利用者様に褥瘡がある場合、褥瘡ケアの具体的な方法や使用している軟膏の種類など詳細な情報を共有することで、より的確なサービスを提供できます。
デイサービスを行う中でやりがいを感じるところはどこですか。
白坂先生:要介護度が4の人が2に、5の人が3になるようなことはなかなかないのですが、「ずっと寝たきりだった人が、座ることができるようになった」「自分で食事することができなかった人が、自分で食べることができるようになった」など、以前に比べてできることが増えていく様子を見るのはとても嬉しいです。また、スタッフがそんな利用者様を見て達成感や仕事に対する満足感を感じてくれることは励みになります。
現在、取り組んでいることや今後、取り組んでいきたいことはありますか。
白坂先生:嚥下障害の講演会などを通して、食にまつわる知識、食事援助の技術に関する啓発活動を行っています。また、これまでの経験をお伝えすることで看護や介護に携わる方々が医療機関と在宅をつなぐケアについて考える機会になればと思っています。利用者様のご家族からは、日帰りだけでなく泊りのサービスを希望する声もお聞きします。小規模ですが多機能なサービスが提供できるよう、スタッフの看護・介護スキルを高めていきたいと思っています。
最後にデイサービスに携わる看護師や介護士の方々にメッセージをいただけますか。
白坂先生:高齢になっても、病気や障害があっても、可能な限りご自宅で生活したいと思う方は多く、その思いに応えるためにも「生活が継続できる」という視点が大切です。要介護者がご自宅でどのように暮らしているのかを確認し、その生活が継続するように専門職として何が行えるのか考え、実践できればよいですね。

監修

繁田 雅弘先生
(東京慈恵会医科大学 精神医学講座 教授)

大谷 道輝先生
(杏雲堂病院 診療技術部 部長)

泉 キヨ子先生
(帝京科学大学 医療科学部看護学科 学科長)

田中 博子先生
(帝京科学大学 医療科学部看護学科 准教授)

2017年10月現在

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