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認知症の人の在宅ケアの実態

認知症の概論と、進行度に合わせた以下の疾病(症状)毎のケアについて解説します。

編集協力 メディカルトリビューン

監修

2017年12月公開

このコンテンツ内容は公開当時の情報です。ご留意ください。

1. 認知症とは?

認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態です。つまり単に記憶力や判断力が低下するだけではなく、それらのことによって日常生活を送ることに支障が出ます。初めは軽度の物忘れ程度であっても、時間の経過と共にいずれ生活に支障が出ます。

認知症は記憶障害があることを前提に説明されることが多いですが、認知症には「アルツハイマー型認知症」のほか、「血管型認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」などがあります。アルツハイマー型認知症の症状は「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」に分けられます。中核症状は、脳の神経細胞が障害されることが原因となって起こる症状です。認知機能障害とも呼ばれます。中核症状があるために、周囲の人との関わり合いのなかで生じるのが「行動・心理症状(BPSD)」です。認知機能障害には、「記憶障害」、「見当識障害」、「遂行機能障害」、「失認」、「失語」、「失行」があります。「行動・心理症状(BPSD)」には「不安・焦燥」、「妄想」、「抑うつ」、「幻覚」、「睡眠障害」などの症状があります。これらの症状出現は、介護する人にも負担がかかります。しかし、この症状は関わり方、環境によっては現れにくく、療養者は穏やかに過ごすことができます。認知症の中核症状と行動・心理症状(BPSD)は図の通りです。

図. 認知症の中核症状と行動・心理症状(BPSD)

アルツハイマー型認知症の症状は、中核症状(認知機能障害)と行動・心理症状(BPSD)とに大きく分けられ、主に下記のような症状が現れます。

●中核症状(認知機能障害)
【記憶障害】
新たな物事を覚えることが難しく、以前の出来事を思い出せない状態。最近の記憶が抜け落ちる。
【見当識障害】
日付や場所、季節や人の識別など、自分が置かれた基本的な状況(見当識)が分からなくなる状態。失見当識ともいう。
【遂行機能障害】
物事を行う上で段取りや計画が立てられなかったり、状況判断ができなかったり順序立てて物事を進めることができない状態。
【失認】
目や耳の機能は正常だが、視覚や聴覚からの情報が正しく認知できず、目の前の物や音が何か判別できない状態。
【失語】
物の名前が出てこなくなったり、言葉の意味が理解できなくなった状態。
【失行】
洋服の着方が分からなくなったり、今まで使っていたような道具がうまく使いこなせなくなったりするなど、手足の動きに問題はないのに、目的を伴った行動が取れない状態。

●行動・心理症状(BPSD)
【不安・焦燥】
不安感や焦燥感があり、イライラしたり、落ち着かなかったりする状態。一人になることを嫌がり、家族の後をついて回ったりする。
【妄想】
現実を取り違えて、猜疑的に捉えてしまう状態。具体的には、自ら財布をしまった場所を忘れ、盗まれたと主張したりする。
【うつ症状】
やる気が起きなかったり、気分が落ち込んだり、ふさぎ込んで人に会うのも嫌になったり、ぼうっとしてしまったりする状態。
【幻覚(幻視・幻聴)】
周囲の人には見えていない物が見える「幻視」、周囲の人には聞こえない音が聞こえる「幻聴」が現れる状態。
【睡眠覚醒リズム障害】
夜間に眠れず、昼間にウトウトするような、昼夜逆転の生活リズム。中には、数日間眠り続けたり、逆に数日間眠らない場合もある。
【徘徊】
「○○へ行く」「自宅へ帰る」などと言って外出し、実際には外を歩き回ってしまう状態。しばしば迷子になってしまうこともある。
【暴言・暴力・攻撃性】
些細なことで興奮したり、大声を出したり、怒鳴ったり、手を上げようとしたりする状態。実際に暴力を振るうこともある。
【介護抵抗】
家族などの介護支援をかたくなに拒む状態。特に、入浴や着替えの時などに、自分の身体を触られるのを嫌がったりする。
【食行動障害】
花や紙など、食べ物ではない物を勘違いして口に運んでしまう状態。時として、便などを口にすることもある。

認知症の方に関わる人が認知症のことをよく理解して適切に対応していくことが大切です。行動・心理症状(BPSD)が現れるのはその根底に認知機能の低下があるからです。行動や症状が現れるのには理由がありますし、その行動や症状のあらわれ方は人それぞれに違いがあります。認知症に対する正しい理解があれば、現れている行動や症状にどのように向き合えば良いのかがわかると思います。
ここでは、認知機能の低下から日常生活や社会生活に支障をきたした状態であるアルツハイマー型認知症(AD)を中心に解説します。

アルツハイマー型認知症(AD)とは?

  • ADでは、大脳皮質連合野や海馬領域を中心にβアミロイドタンパク、タウタンパクが脳内に蓄積し脳の神経細胞が障害され、脳が萎縮します。
  • 側頭葉内側部の海馬(記憶中枢)から障害され、近時記憶障害と見当識障害から始まり、進行すると日常生活に支障をきたします。
  • 認知症の中でもADは半分以上を占めています。
  • 薬物療法によって進行を遅らせることができるといわれていますが、時間の経過とともに徐々に認知機能は低下し、軽度~中等度~高度へと年単位で緩やかに進行していきます。
  • 認知症が軽度の時は、物忘れや年月日がわからなくなる、何度も同じことを言ったり尋ねるなどがみられます。本人は漠然と「なんだろう? 何がおかしい」と違和感を感じはじめ、とても大きな不安を抱えています。
  • 中等度になると、食事や排泄、入浴、着替え、身だしなみを整えるなどの日常生活動作ができなくなり、見守りだけでなく手助けが必要な状態になってきます。これらができなくなってきた時は、指摘したり訓練しても改善はみられず、かえって自尊心を傷つけたり混乱を招いたりすることになります。認知症が進行したことによってできなくなることは増えてきますが、全てできなくなったわけではありません。できることもたくさんあるので、本人に残っている力や強みをみいだして、それを生活の中で活かしていける関わりが必要です。
  • 高度になると、入浴することや着替えることも嫌がるようになり、日常生活動作全般に手助けが必要になります。ことばがうまく出てこなくなり会話ができなくなります。そのため、本人の意思をおしはかることが必要です。

認知症の人の在宅ケアの実態

監修

繁田 雅弘先生
(東京慈恵会医科大学 精神医学講座 教授)

大谷 道輝先生
(杏雲堂病院 診療技術部 部長)

泉 キヨ子先生
(帝京科学大学 医療科学部看護学科 学科長)

田中 博子先生
(帝京科学大学 医療科学部看護学科 准教授)

2017年10月現在

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