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在宅療養支援診療所リポート

たかせクリニック

理事長 髙瀬 義昌先生

2017年12月公開

このコンテンツ内容は公開当時の情報です。ご留意ください。

たかせクリニックは認知症ケアを中心とした高齢者の在宅医療を行われていますが、最初にクリニック開設までの経緯を教えてください。
髙瀬先生:私は元々、小児科が専門でしたが、患者さんだけでなく患者さんの家族のケアやカウンセリングも含めた総合的なアプローチを行う「家族療法」に興味を持ち、小児科診療に取り入れていました。そのような中、高齢者の在宅医療に携わる機会があり、在宅医療にも家族療法を取り入れたところ、高齢者の認知症の症状が改善したため、このアプローチは高齢者の在宅医療でも有効だと考えました。2000年に介護保険が導入され、高齢者医療が大きく変わると確信していたこともあり、家族療法などの心理療法も利用して、認知症の高齢者の在宅療養支援を行いたいと思い、2004年にクリニックを開設しました。
クリニックの特徴や力を入れていることをお聞かせください。
髙瀬先生:認知症の在宅ケアと高齢者医療を二本柱に、複数の医師と協力して、総合的かつ専門的な医療を提供しています。特に高齢者を在宅でケアしていくために、家族支援には力を入れています。認知症の患者さんだけでなく、患者さんの家族が介護うつになるケースも多く見てきましたので、負担を抱え込んでいる家族や介護者の心身のサポートが重要だと感じています。また、医療(薬)、看護、介護のチームが協力して、患者さんと家族が在宅でいきいきと暮らせるよう支援し、必要な場合は専門病院との連携や行政への橋渡しも行っています。
認知症の在宅ケアにおいて重要なポイントは何ですか。
髙瀬先生:認知症者において、在宅療養が継続できなくなる主な要因として脳卒中、肺炎、骨折、帯状疱疹などがあります。これらに罹患すると、その多くは入院加療を必要とし、長期の入院は認知機能の低下を進める要因の一つとなります。安定した在宅療養を続けていくには、これらを薬剤(ワクチン)や、徹底した注意喚起などで予防することが重要です。入院を予防することは、医療費の削減にも繋がります。また、高齢者は季節を問わず脱水症を起こしやすいため経口補水液などを用いた予防策も重要です。
高齢者はいくつもの疾患を併発していることが多く、さまざまな種類の薬剤が処方されています。薬剤療法ではどのようなアプローチを行っていますか。
髙瀬先生:処方内容の確認、見直しを重要視しています。認知症でよくみられる妄想や幻覚などの行動・心理症状(BPSD)は正しいケアを行うことでかなり緩和することができます。ケアをしっかり行うことで減薬も可能なのです。薬剤だけで改善しようとするとどうしても薬剤数が増えてしまいます。ポリファーマシー(多剤併用)の問題もありますので、「薬剤とケアの最適化」は大切です。日頃から患者さんの症状を家族、看護師や介護士、ケアマネージャーなどのスタッフと連携してモニタリングを行い、情報共有を密にしながら最適化に注力しています。
先生は在宅での看取りも数多く支援されてきましたが、どのようなサポートを行っていますか。
髙瀬先生:日本では病院で看取りを行うことが多く、自宅で看取ることは欧米に比べるとまだまだ少ないのが現状です。私たちは理想の最期、安らかな旅立ちとはどのようなものかを、家族と一緒に考えながら、看取りをデザインするという感覚で、最期の時を見据えた訪問診療を行っています。
先程、行政への橋渡しもされているというお話がありましたが、具体的にどのようなことに取り組まれていますか。
髙瀬先生:全国の認知症関連のイベントへの参加や認知症の在宅ケアの啓発のための情報発信に力を入れています。また、国や行政が推進する地域包括ケアを話し合う会議や医師会、東京都の会議などに出席し、在宅医療の問題点や課題を報告しながら、今後の展望、改善策の提案を行っています。在宅医療の現状を国や行政にもっと理解してもらう場を作ることが求められています。
日本の在宅医療をよくしていくための活動の中で、何か注目されている動きはありますか。
髙瀬先生:近年、人工知能(AI)やIT技術、ビッグデータの医療への活用が話題になっていますが、これらの技術は在宅医療の質の底上げにも大いに役立つと考えています。実際に認知症の症状のチェックができるスマートフォンアプリ(https://orangeact.org/appdl.html)の作成などを通して、早期発見・早期対応に繋がるさまざまな試みを行っています。また、ITヘルスケア学会や医師会と連携して、在宅医療の課題や問題点に対する改善策の提案などもしています。AIやIT技術の導入によって、将来的には、診断や推奨薬のナビゲーションを担うシステムなどもできてくると思います。
ビッグデータのお話も出ましたが、AIやIT技術の導入で日本の在宅医療も大きく変わり、データ収集がより重要になるということですか。
髙瀬先生:そう思います。例えば、高齢者の骨折リスクは重大な問題ですが、在宅医療でそれをどのように防ぐことができるのか、また、実際に防ぐことでどれくらいの費用対効果があるのかなどを調べ、医療全体への貢献度を測定していくことができます。
最後に在宅医療に携わる医師、看護師や介護士の方々にメッセージをいただけますか。
髙瀬先生:医師、看護師や介護士が同じ目的意識を持ち、チームで患者さんをモニタリングしていくことが重要です。多職種でお互い共通言語を学びながら、切磋琢磨していく中で在宅医療をよりよくしていくための鍵が見えてくると思います。

監修

繁田 雅弘先生
(東京慈恵会医科大学 精神医学講座 教授)

大谷 道輝先生
(杏雲堂病院 診療技術部 部長)

泉 キヨ子先生
(帝京科学大学 医療科学部看護学科 学科長)

田中 博子先生
(帝京科学大学 医療科学部看護学科 准教授)

2017年10月現在

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