ナース・介護者が知っておきたい
おむつの選び方・使い方:おむつかぶれを防ぐケアの実際
赤羽中央総合病院 看護師長
介護老人保健施設「太陽の都」
高橋麻由美
2020年8月公開
病院では、ナースが主におむつケアにかかわりますが、在宅や施設ではご家族や介護職員などがかかわります。そのため、介護職員にも、いわゆる“おむつかぶれ”を予防するおむつケアやスキンケアが求められます。「いつもこの人はこういう皮膚をしている」とか「こんな皮膚の人、よくいるよね」と、異常やリスクに気づかなければ、介入が遅れて、重大な事態になりかねません。
Part4ではおむつ内の皮膚に起こりやすい、いわゆる“おむつかぶれ”の原因と対策について述べます。
以前は、おむつかぶれは皮膚の表層で起こる一次刺激性接触皮膚炎やアレルギー性接触皮膚炎と考えられていました。しかし、近年、皮膚の内部に至る組織障害であることが明らかになり、発赤が見られてからケアしたのでは遅いということがわかってきました。
おむつ内は常に尿や便にさらされ、皮膚トラブルを起こしやすい場所です。尿などの水分に長時間皮膚がさらされると浸軟(ふやけ)を起こします。皮膚が浸軟すると、細胞同士の結合が拡大するなどバリア機能が低下し、大きな分子も皮膚の内部に入り込めるようになります。軟便や水様便には、不活化していない消化酵素が多く含まれており、その中のリパーゼ(脂質分解酵素)は皮膚のバリア機能の一部である皮脂や角質細胞間脂質を分解し、さらなるバリア機能の低下を招きます。
また、便中のプロテアーゼ(タンパク分解酵素)も、細胞を傷害しながら真皮深層に侵入し、毛細血管壁を分解し出血を起こします(図1)。浸軟と消化酵素でダメージを受けた皮膚には、細菌が容易に侵入し、組織傷害を悪化させます(図2)。このような「尿または便(あるいは両方)が皮膚に接触することにより生じた皮膚炎」1のことを失禁関連皮膚炎(Incontinence-associated dermatitis:IAD)といいます。
こうした皮膚は、わずかな外力でも水疱やびらんを起こします。発赤が見られたときには、すでに消化酵素や細菌が皮膚内に侵入しているため、発赤を見つけてからケアを始めるのではなく、おむつを使用するようになったときから、予防的ケアをすることが重要です。
図1浸軟皮膚における消化酵素の影響
図2浸軟皮膚における細菌の影響
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