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2023年8月公開
医療における「タスク・シフト/シェア」が急速に進んでいる背景にあるもの
そもそも医療におけるタスク・シフト/シェアの推進は、どのような経緯で起こってきたのでしょうか。きっかけは、2019年4月に施行された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」に遡ります。これによって労働者の時間外労働の上限規制や年5日以上の年次有給休暇取得が義務化されました。医療関係者においても同様でしたが、これは医師を除く医療従事者に対してでした。医師に関しては、2024年4月1日施行と猶予期間が設けられました。それは、医師は他職種と比べて格段に時間外労働が多く、すぐに適用するのは難しいと判断されたためです。この5年の期間の間に、医師から他職種へのタスク・シフティングを進め、医師の働き方改革を推進しようという背景があります。
2019年12月、「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」が始まりました。ここで、「タスク・シフト/シェア」という言葉が初めて使われました。「シフト=移管する」だけではなく「シェア=共有する」となったのは、業務によっては「移管する」よりも「共に行った」ほうが効率的で安全なものがあるためという考え方からです。この検討会では、医師から他職種にシフト・シェアする業務について、①現行制度の下で実施可能な業務、②実施するにあたって法令改正が必要な業務に分けて議論が進められました。
2021年5月には、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が公布されました。その後、いくつかの政省令・通知が発出されて、医療におけるタスク・シフト/シェアが推進されています。
このように、医療におけるタスク・シフト/シェアは、医師に関する時間外労働の上限規制が適用される2024年4月1日に向けて推進され、すべての医療機関が取り組まなくてはならないことになっています。その経緯と今後の見通しを図1に示します。
図1 医師の働き方改革の検討経緯と今後の見通し
秋山智弥:看護補助者との業務分担・協働推進における基本的な考え方.看護管理 2022,32(12):971.より引用
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