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2024年12月公開
精神科訪問看護では「GAF尺度」が必須に!その背景とは?
谷澤早紀
コモレビナーシングステーション 管理者
精神看護専門看護師・保健師・公認心理師
谷澤早紀
コモレビナーシングステーション 管理者
精神看護専門看護師・保健師・公認心理師
GAF尺度の話に入る前に、そもそもGAF尺度を理解する必要性が高まっているのはなぜか、その背景についてお話したいと思います。
近年、医療の現場では、治療過程を数量化する評価スケールの活用が求められる場面が増えています。
たとえば、2002年に日本褥瘡学会が発表した「褥瘡評価ツール DESIGN」(現在は「褥瘡評価ツール 改訂DESIGN-R®2020」)は、2002年4月の診療報酬改定における褥瘡対策未実施減算の導入も相まって、評価スケールとして広く使用されるようになりました。
また、ICUで使用されている重要臓器の障害程度を数値化した評価スケール「SOFA score」についても2018年の診療報酬改定にて「特定集中治療室管理料(ICU管理料)1・2」における測定要件とされるなど、評価スケールの正確な理解と測定の必要性が高まっています。
精神科の訪問看護でも同様の流れがあり、近年広く活用されるようになっている評価スケールがGAF尺度です。
2020年の診療報酬改定では、精神障がいのある利用者さんの訪問看護において、その月の初回訪問時のGAF尺度の点数を訪問看護記録書、訪問看護報告書、および訪問看護療養費明細書に記載することが、「精神科訪問看護基本療養費」の算定要件とされました。
2024年の診療報酬改定では、GAF尺度の点数が従来以上に重んじられることとなりました。
図1:令和6年診療報酬改定 訪問看護療管理療養費の見直し
引用:令和6年度診療報酬改定の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001252076.pdf
具体的には、「精神科訪問看護基本療養費」に上乗せされる「訪問看護管理療養費」が、これまで一律1日3,000円(月の2日目以降の訪問の場合)であったところ、今回の改定で1日3,000円の訪問看護管理療養費1と、1日2,500円の訪問看護管理療養費2に区分されました。そして、下記に挙げる訪問看護管理療養費1の算定要件を満たさない場合は訪問看護管理療養費2が適用されることになりました。
<訪問看護管理療養費1の算定要件>
1と2の両方を満たすこと:
1. 訪問看護ステーション利用者のうち、同一建物居住者の占める割合が7割未満
2. 下記のいずれかに該当する
・別表第7、第8に該当する者への訪問看護について相当な実績がある
・精神科訪問看護基本療養費を算定する利用者のうち、GAF尺度が40以下の利用者数が月に5人以上
つまり、臨床現場で利用するだけではなく、運営上その点数を管理することが求められるようになりました。
このように精神科の訪問看護においても、評価スケールの活用が求められています。GAF尺度を正しく理解し、適正に判定することは事業所の経営上においても重要となっているのです。
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