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2024年12月公開
GAF尺度とは?精神科訪問看護師が点数のつけ方まで徹底解説
谷澤早紀
コモレビナーシングステーション 管理者
精神看護専門看護師・保健師・公認心理師
谷澤早紀
コモレビナーシングステーション 管理者
精神看護専門看護師・保健師・公認心理師
次からは、そもそもGAF尺度とは何かということ、GAF尺度の点数のつけ方の基本をご紹介していきます。
GAF尺度とはGlobal Assessment Functioning Scale(機能の全体的評定尺度)の略称で、患者さんや利用者さんの状態を、心理的機能(=精神症状の重症度合)、社会的及び職業的機能(=社会や職業への適応度合)という2つの観点から客観的に評価するものです。
なお、「身体的または環境的制約による機能障害」は評価に含めないとされています。たとえば風邪により会社を欠勤しているという場合は身体的制約があると言えるので、GAF尺度による評価の際には加味しません。
あらゆる精神障がい者のみならず健常者にも適用することができる、とされています。
ここからはぜひ、実際のGAF尺度の表(図2)もご覧ください。
まず全体は1点(最悪の精神状態)から100点(最も理想的な精神状態)で表されています。
そして10点刻みで、一番上の100‐91から一番下の0まで全部で11の機能範囲が示されています。
それぞれの機能範囲ごとに、数行で判断基準点(アンカーポイント)が設定されています。
判断基準点は、精神症状の重症度合と、社会や職業への適応度合、それぞれに関して定められています。
図2 GAF(機能の全体的評価)尺度
引用:厚生労働省「精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査(平成15年)」より一部抜粋
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/11/dl/s1111-2a.pdf
ここが重要!GAF尺度を用いて評価する際の基本的な考え方
GAF尺度による評価は、原則として、現在のエピソード(過去1週間の症状や機能の最低レベル)に基づき行います。
ポジティブな面、利用者さんのストレングス(生活の中で出来ていることや発揮できている強み)に焦点を当てて評価することはしません。GAF尺度による評価はあくまで症状や機能に対する評価であり、日頃のケアにおいて大切にしていること(ストレングスへの着目など)とは混同しないようにする必要があることに留意してください。
ここからは、実際の点数のつけ方を解説します。
まず10の位を検討し(第1ステップ)、次に1の位を決めます(第2ステップ)。
具体的にイメージしていただけるよう、Aさんという架空の利用者さんを想定し、実際に評価を行っていきます。
<Aさんについての情報(過去1週間の訪問で分かったこと)>
・朝の薬はご自身でセットしている。前回訪問時の前夜には、眠前薬を2パック内服したそう。
・「○○公園に友人が20人いる。自分を呼んでいるので話さないといけないと思って」とおっしゃり、今週は週に4回、夜中に一人で○○公園に行ったそう。「会っても会釈や会話はしなかった」とおっしゃっていた。夜中に公園に行くことで、入眠時間が遅くなり、睡眠にもかなり影響が出てしまっている。
・高齢の母親と同居しており、食事のときには二言三言、会話をすることもある。
・仕事は7年前からしていない。外出することはほとんどなく、自室で多くの時間を過ごしている。
① 第1ステップ:範囲(10の位)の評価
表の最高のレベル(100-91)から順番に下へ移動しながら、「その人の精神症状の重症度合/社会や職業への適応度合」に適合しそうな範囲(10の位)を探していきます。
最も適合すると思われる範囲(10の位)に到達したら、その下の範囲の記述も確認し、いずれがより適切かを検討します。
なお、精神症状と社会機能の重症度が一致しない場合は、より低い方の範囲(10の位)を採用します。
図3 ステップ1の解説画像
Aさんの10の位を考えていきましょう。
Aさんは、精神症状としては「○○公園に友人が20人いる」「呼ばれたので夜中に一人で○○公園に行った」などの部分から、妄想・幻覚が日常の生活・行動に一定の影響を与えていることが想定されます。
社会機能としては、仕事をはじめ社会的な活動はあまりないこと、同居のお母さんとは1日に数回、会話があることが読み取れます。
表を上から確認していくと、40‐31の記述も近そうには思えましたが、30-21にある記述「行動は妄想や幻覚に相当影響されている」が、Aさんの精神症状に最も近そうに思われます。その下の20‐11を見ると「意思伝達に粗大な欠陥」などの記述があり、Aさんの精神症状はここまでではないように思えます。
ここで30‐21に戻って続きを見ると、「ほとんどすべての面で機能することができない(例:1日床についているなど)」とあります。Aさんの社会機能はここまでではなく、40‐31の記述のほうがより近そうですが、「精神症状と社会機能の重症度が一致しない場合は、より低い方の範囲(10の位)を採用する」という原則から、ここでは10の位は「30‐21」を採用します。
② 第2ステップ:範囲(1の位)の評価
10の位が決まったら、次は1の位の評価です。10の位として決まった範囲よりも1つ下・1つ上の範囲のいずれに近いか、という観点で、1の位を検討していきます。
このとき、第1ステップで10の位を検討する際に上と下の範囲のどちらとするかを迷った場合は、それも
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