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MDRPU「医療関連機器圧迫創傷」の名称を「医療関連機器褥瘡」に変更することが2024年2月に日本褥瘡学会用語集検討作業部会から発表がありました。
■関連ニュース(2024年4月)
・医療関連機器“圧迫創傷”から医療関連機器“褥瘡”へ 用語の見直しが進む2017年1月公開
(3)MDRPUは、どんな医療機器によって、どこでどのくらい発生しているか
MDRPUへの取り組みを始めた日本褥瘡学会では、まず、MDRPUがわが国の医療施設や在宅でどのくらい発生しているのかを調べる実態調査からスタートしました。調査対象施設は、病院301施設、介護保険施設127施設、訪問看護ステーション134施設で、MDRPUの発生率は0.02%(介護老人福祉施設)~0.74%(小児専門病院)でした1。同じ時期に褥瘡の有病率調査も行ったのですが、その結果は0.89%(介護老人福祉施設)~2.61%(訪問看護ステーション)でした2。褥瘡と比べてMDRPUは非常に少ない発生率であることがわかります(表1)。
ただ、発生施設を見ると非常に特徴的であることがわかります。MDRPUがよく発生しているのは「小児専門病院」「訪問看護ステーション」「大学病院」であり、褥瘡が多く発生している「訪問看護ステーション」「療養型病床を有する一般病院」「一般病院」とは異なっています。また、褥瘡のうちMDRPUが占める割合を施設別に見ると(表2)1、「小児専門病院」が圧倒的に多く、次に「大学病院」が多いことがわかります。これは医療機器が使われている“場”を考えれば納得のいく結果です。施設別に見た場合、MDRPU対策を集中して行っていかなければいけないのは小児病院と大学病院であると言えます。
表1 MDRPUと褥瘡の有病率(日本褥瘡学会、2013年)
施設区分 | MDRPU有病率(%)1 | 褥瘡有病率(%)2 |
---|---|---|
一般病院 | 0.25 | 1.99 |
療養型病床を有する一般病院 | 0.14 | 2.20 |
大学病院 | 0.28 | 1.39 |
小児専門病院 | 0.74 | 1.47 |
介護老人福祉施設 | 0.02 | 0.89 |
介護老人保健施設 | 0.07 | 1.27 |
訪問看護ステーション | 0.34 | 2.61 |
表2 褥瘡のうちMDRPUが占める割合:調査施設別(日本褥瘡学会、2013年)
施設区分 | MDRPU有病率(%)1 |
---|---|
一般病院 | 12.4 |
療養型病床を有する一般病院 | 6.4 |
大学病院 | 20.0 |
小児専門病院 | 50.0 |
介護老人福祉施設 | 1.8 |
介護老人保健施設 | 5.5 |
訪問看護ステーション | 12.9 |
もう一つ見なければいけないのが、どのような医療機器によって身体のどの部位にMDRPUが発生しているかです。それぞれ上位10位までを挙げました1(図1、2)。MDRPUが発生する医療機器で多いのは「医療用弾性ストッキング」「ギプス・シーネ」「NPPVマスク」等であることがわかります。そして身体の発生部位で多いのは、「体幹」「脛骨部」「腓骨部」「鼻根部」「足指」等です。医療機器の種類と発生部位は大きく関連していることがわかるでしょう。
図1 どのような医療機器でMDRPUが発生しているか1
図2 身体のどんな部位にMDRPUが発生しているか1
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