2024/4/22
2023年日本褥瘡学会第3回理事会、2023年8月31日社員総会で、「医療関連機器圧迫創傷」の名称を「医療関連機器褥瘡」に変更することが承認され、2024年2月には同学会用語集検討作業部会から正式に発表があった。
英語名についてはMDRPU(Medical Device Related Pressure Ulcer)とMDRPI(Medical Device Related Pressure Injury)の両方を含めることが合わせて発表されている。
これは、欧米では、「褥瘡」は“Pressure Ulcer”と“Pressure Injury”の両方が使われており、米国褥瘡諮問委員会(National Pressure Ulcer Advisory Panel:NPUAP)では、“Pressure Ulcer”から“Pressure Injury”へと用語を変更している。そうしたことも踏まえての英語表記となった。今後、海外の動向も考慮しつつ引き続き検討を重ねていくとしている。
医療関連機器褥瘡は、日本褥瘡学会学術委員会と用語検討委員会の協働で、以下のように定義されている。
医療関連機器による圧迫で生じる皮膚ないし下床の組織損傷であり、厳密には従来の褥瘡すなわち自重関連褥瘡(self-load related pressure ulcer)と区別されるが、ともに圧迫創傷であり広い意味では褥瘡の範疇に属する。なお、尿道、消化管、気道等の粘膜に発生する創傷は含めない。
上述のとおり、MDRPUは広い意味では褥瘡(自重関連褥瘡)に含まれるものの、原因が自重による摩擦やずれの持続によるものではなく、酸素マスクやギプス、経鼻チューブ、抑制帯など医療関連機器による点が特徴だ。重症度や経過評価にはDESIGN-R® 2020が用いられる。
日本褥瘡学会では医療機器による創傷の位置づけを何度も理事会で検討し、「原因は体重であれ機器であれ、人の身体に圧迫などが加わったときに発生する創傷は“褥瘡”として位置づける」、つまり、日本褥瘡学会が取り扱う創傷とすることを理事会決定したうえで、「医療関連機器圧迫創傷」の用語が生まれた。
日本褥瘡学会では、これまでに「褥瘡」の定義そのものについても検討を重ねてきており、より時代に合わせた形へと用語や定義の見直しを進めている。今回の名称変更についてもこの見直しの一環であり、今後の動向を注視したい。
詳しくは、下記を参照
・日本褥瘡学会WEBサイト「医療関連機器圧迫創傷の名称変更について」
https://www.jspu.org/medical/mdrpu/
参考文献
・一般社団法人日本褥瘡学会編:ベストプラクティス 医療関連機器圧迫創傷の予防と管理.照林社,東京,2016.
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