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2024年4月公開
在宅医療に求められていること
池邉 太一
医療法人社団悠翔会 副理事長
悠翔会在宅クリニック春日部 院長
佐々木 淳
医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長
池邉 太一
医療法人社団悠翔会 副理事長
悠翔会在宅クリニック春日部 院長
佐々木 淳
医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長
多くの人が自宅など住み慣れた環境での療養を望んでいます1。前項で述べたように、誰しもが病気を抱えながら生活をするようになる中で、「治す医療」から「治し、支える医療」への転換と充実が求められています。
たとえ疾患や障害があっても、住み慣れた地域・環境で自分らしい生活を続けられるよう、入院・外来医療、介護サービスと相互に補完しながら、患者さんの日常生活を支えることが、在宅医療には求められています。
在宅医療の体制構築にかかる指針において、①退院支援、②日常の療養支援、③急変時の対応、④看取りの4点が提供体制として求められています(図1)2。
図1 在宅医療に求められる役割
在宅医療は、増大する慢性期の医療ニーズのみならず、近年では緩和ケア・EOLケアの受け皿としての役割が期待されています。人工呼吸器や胃ろうなどを使用している方や、急激な変化を認めるがん患者も増えてきたことから、より早期にかつ積極的な退院後の生活を見据えた退院支援が必要となっています。病院と在宅側が退院前カンファレンスなどを通じて患者・家族の不安軽減・QOL向上に努めることが必要です。
支える医療としては、“疾患”という側面からだけではなく、“患者さんのニーズ”に対応して多職種協働により継続的・包括的にサービスが提供されることが必要です。その中には家族に対する支援や今後の過ごし方についての相談、緩和ケア・EOLケアの提供などが含まれます。予測される急変を減らすためには、日常の医学・生活管理が重要です。それぞれの患者さんにどのような急変が生じうるか、平時から想定し対応することで、急変を減らすことができます。
急な状態変化が生じた際にも往診や緊急訪問ができる体制を構築し、入院での治療が必要であれば病院と連携します。入院となった場合でも、早期に退院支援ができるよう医療機関側と連携を取ることも大切です。
住み慣れた場所で大切な家族に囲まれながらさいごの時間を過ごしたいと希望される方には、看取りに対する支援が必要です。患者本人への苦痛緩和はもちろんのこと、ご家族の身体的・精神的ケアも重要となってきます。看取りに向けては、ご家族に想定される変化や残された時間などを先読みしながら説明し、見通しを共有することによって不安の解消につながります。多職種の中でも常に状況を共有することも、穏やかで安心した看取りに必要不可欠なことです。
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