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2025年3月公開
予後が1か月を切るタイミングとは?
5.臨終期の「発熱」に対するケア
細井 崇弘
細井 崇弘
地方独立行政法人茨城県西部医療機構 筑西診療所 医師
地方独立行政法人茨城県西部医療機構
筑西診療所 医師
臨終期の患者さんが発熱した場合、どう対応すべきか迷うことが多いでしょう。解熱薬を使うべきか、様子を見るべきかなど、判断が難しいこともあります。ここでは、臨終期の発熱への適切な対応と、患者さんの快適さを保つためのケアについて解説します。
臨終期の患者さんには発熱がよくみられます。特に、末期がん患者さんでは71~100%が発熱すると報告されており、そのうち57~77%は感染症が原因です1,2。感染症は主要な死因の1つであり、最も多いのは尿路感染症で、次いで肺炎、皮膚感染症が続きます。
発熱の主な原因は感染症ですが、他にもいくつかの要因があります。発熱の原因を特定するためには、発熱以外の症状に注目し慎重に観察することが大切です。
●腫瘍熱
がん自体が原因で発熱することがあり、進行がん患者の40~80%でみられます。特徴として悪寒や戦慄が少なく、朝・夕など特定の時間帯に発熱しやすいことが知られています。また、平熱時には心拍数が上がらないことが一般的です3。
●中枢神経への転移(中枢熱)
脳などの中枢神経にがんが転移することで高熱が生じます。この場合、意識障害や自律神経障害といった症状もみられます。
●薬剤熱
使用中の薬剤が原因で発熱することもあります。原因となる薬を中止または変更することで改善がみられます。
臨終期の患者さんに対して治療方針を決める際には、予後予測が重要です。特に予後が週単位以下の場合、侵襲的な検査や治療は患者さんの負担になることがあります。たとえ感染症が原因でも、抗菌薬で予後が大きく改善することは少なく4、治療の目標は「治癒」よりも「症状緩和」にシフトすることが推奨されます(図1)。
① 侵襲性の考慮
検査や治療がどれほど患者さんに負担をかけるかを考え、本人や家族と相談して決めます。例えば腫瘍熱が疑われる場合はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使って診断的治療※を行うことや、感染症が疑われても解熱薬や鎮痛薬のみで対応して症状緩和を図ることも選択肢に入れます。
② 治療のタイムリミットを設定する
抗菌薬を使用する場合、3日程度の期間を設けて効果を評価する(time-limited trial)ことも考慮されます5。効果がなければ症状緩和に焦点を移し、不要な治療を避けられます。
図1 臨終期の発熱への対応
臨終期では症状緩和を重視するケアが求められる。また、患者さんの家族や医療チームで患者さんに寄り添ったケアについて話し合い、治療方針を共有することも重要
臨終期には、
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