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2025年3月公開
予後が1か月を切るタイミングとは?
3.臨終期の「食べられない」を支援する
細井 崇弘
細井 崇弘
地方独立行政法人茨城県西部医療機構 筑西診療所 医師
地方独立行政法人茨城県西部医療機構
筑西診療所 医師
「食べたいけど食べられない」。食に関する苦悩は、臨終期のケアの現場で避けては通れません。患者さんや家族にとって、臨終期の栄養に関する問題は大きな精神的負担になります。看護職や介護職としてどのようにサポートできるのか、患者さんや家族の「食」に関する苦悩に寄り添うためのケアについて考えてみましょう。
病気が進行すると、徐々に食事や水分の摂取が難しくなります。進行がん患者の75~80%に食欲不振がみられ、臨終期にはほぼ全例で認められます1。患者さんは「食べないといけないのに食べられない」「体力が低下するのでは」といった不安を抱え、家族は「少しでも食べて元気になってほしい」とつらい気持ちを抱えます。日本の調査では、がん患者の家族の71%が栄養摂取の低下に対して心理的苦痛を感じ、69%が「無力感や自責感」を抱いていると報告されています2。
近年では、患者さん自身の「食べられない」苦悩に加え、家族が感じる苦悩もケアの対象とすべきという考えが広まりつつあります。これを食関連苦悩(Eating-Related Disorder; ERD)と呼びます3。このような状況には「身体的」「心理・社会的」「家族」の3つの視点からのケアが重要です。
① 身体的な苦痛へのケア(図1)
●食事の工夫
患者さんの好みに合わせた食事の工夫が必要です。食べやすい形状や味つけを考慮し、食べられる時間に少量ずつ提供したり、料理の見た目や温度を調整したりすることも重要です。
●排便コントロール
便秘や腹部膨満感が食欲低下の原因となることがあります。そのため、下剤の調整や温罨法などで便通を管理し、腹部の不快感を軽減することが重要です。
●安楽な姿勢の工夫
倦怠感が強い患者さんにとって、食事の際の姿勢や衣類の調整が快適さに影響します。例えば、ゴム製の衣類の部位を切断してゆるめるなど、小さな工夫が快適さを向上させます。
●輸液の管理
臨終期において、脱水そのものが苦痛の原因になることはほとんどありません。むしろ、浮腫や喀痰、胸水・腹水がある場合には、輸液を制限する(500~1,000mL/日以下)ことでつらい症状を和らげることができます。家族が考える点滴の意味や気持ちに寄り添いながら、輸液の方針を決定する姿勢が求められます。
●口腔ケア
食事が摂れなくても、口腔ケアによって口渇感を和らげることができます。スポンジでの口腔清拭や保湿ジェル・スプレーの定期的な使用で、患者さんの快適さを保つことが可能です。
図1 身体的な苦痛へのケア
② 心理・社会的な苦痛へのケア
●食事環境の整備
リラックスできる環境を整え、
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