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2025年3月公開
後悔しない臨終期のケアのために―予後予測の意義
細井 崇弘
細井 崇弘
地方独立行政法人茨城県西部医療機構 筑西診療所 医師
地方独立行政法人茨城県西部医療機構
筑西診療所 医師
臨終期(看取り期)において「残された時間(予後)を予測する」ことは、医療や介護の現場で重要なスキルです。それは、治療やケアの方針を決めるためだけではなく、患者さんの死後、遺族の心のケアにも大きな影響を与えるからです。なぜ「予後の予測」が大切なのか、この記事で一緒に考えてみましょう。
1.臨終期のケアの重要性と家族支援
高齢・多死社会を迎える日本において、臨終期のケアはどの職種にとっても非常に重要です。「臨終期」に明確な定義はありませんが、この記事では「亡くなる数週間前~死亡時」までと定義します。
正確な予後予測は、患者さんの治療やケア方針を決めるために欠かせませんが、それだけではありません。患者さんの死後、家族が後悔や自責の念に苦しむことを防ぐためにも、重要な役割を果たします。
家族が予期していない時期に患者さんを失うことは、家族のうつ病や複雑性悲嘆(通常の悲しみを越えた病的な悲嘆)を引き起こす原因となることが、さまざまな研究で明らかになっています。例えば、122名の遺族を対象として行われた調査では、「心の準備ができていなかった」遺族は、死別後の抑うつや複雑性悲嘆のリスクが2~2.5倍高かったと報告されています1。
また、日本の緩和ケア病棟を利用したがん患者さんの遺族を対象とした調査では、90%以上の家族が臨終の際に立ち会いたいと希望していました2。なお、この調査では、看取りに立ち会えたかどうかよりも、臨終期に「伝えたいことを伝えられなかった」ことのほうが遺族の抑うつに影響していたと報告されています。つまり、最期に立ち会えるかどうかも大切ですが、その前に心残りがないように、本人と家族がしっかりとコミュニケーションをとることが重要なのです(図1)。
図1 臨終期における家族への適切な介入が死別後に与える影響
看護・介護職が心の準備をする手助けをして、亡くなる前にお互いにコミュニケーションをとれることが大切
2.臨終期に重要な3つのスキル
視点を変えて、臨終期における「医師から家族への説明」に関する日本の遺族調査を見てみましょう3。この調査では、
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