世界で活用されているシーティングを学ぶ

株式会社アクセスプランニング
チーフコンサルタント / シーティング・スペシャリスト
山崎泰広

  • 本コンテンツ内の症例写真はご本人・ご家族の同意を得て使用しています。
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2021年6月公開

皆さんが出会ってきた患者さんのなかに、「自分に合わない車椅子」を使っていることで生活機能が低下し、意欲さえも失ってしまう方はいなかったでしょうか。合わない車椅子を使用し続けると、姿勢が崩れてしまうことにより身体の変形や褥瘡のリスク、さらに認知機能低下のリスクまで高まります。
適切なシーティングを行って姿勢を整えることで、患者さんのADLは目に見えて向上し、介助者の負担も大きく軽減されます。このコンテンツでは、世界のシーティングの中心である「国際シーティング・シンポジウム(ISS)」で共有されている基本的な理論であり世界中で活用されているシーティングの理論をお伝えします。
ナースがシーティングの基本的な考え方と方法をしっかりと認識しておくことで、目の前の患者さんの姿勢を見て必要な対処法に気づくことができ、一歩進んだシーティングが可能になります。

本コンテンツでは、まず、車椅子での“悪い姿勢”がどのようなリスクをもたらすのかと、“よい姿勢”を保つためにどのようなことが必要なのか、そして、医療現場で車椅子に対して抱かれがちな“誤解”と“新常識”についてをお伝えいたします。
そのうえで、世界標準であるシーティング理論と、“悪い姿勢”を見抜くためのポイント、それを踏まえての姿勢改善の具体的な方法を、器具の活用方法と合わせて紹介します。
最後に、シーティングに関して医療者からよく寄せられる疑問にお答えします。一歩進んだシーティングのための参考にしてください。

私自身もシーティングに助けられた車椅子使用者の一人です。難治性の褥瘡による6回の手術、延べ2年以上の入院を経験しましたが、左坐骨の褥瘡は完治せず繰り返し発生しました。最後の望みをかけて28年前に7回目の手術を米国で受けました。日本と違ったのは、術後にシーティングスペシャリストの理学療法士に姿勢を改善してもらったことです。その結果、褥瘡が完治し現在に至っています。同じような悩みを抱えている方を救いたい! という思いから、自分の経験を踏まえて、日本でのシーティング普及活動を始めました。
医療・リハビリ・介護にかかわる者の使命は、患者さんの二次障害の予防、治療、再発防止、自立支援、そして介護軽減です。最終的には、家族みんなが心身ともに健康で幸せな生活を送れるようにすることです。それをサポートするためにも、座位でのポジショニングとシーティングの基本を、ぜひ知って活用していただきたいと思います。

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