おわりに

株式会社アクセスプランニング
チーフコンサルタント / シーティング・スペシャリスト
山崎泰広

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2021年6月公開

介護保険が始まったとき、使用されていた車椅子の大半は、何の機能もない病院の備品のような車椅子でした。欧米ではフットレストが開閉式でアームレスト跳ね上げ式の車椅子が主流だったため、車椅子使用者の移乗時に足場を確保し、移乗と介助を楽にするこれらの機能の付いた簡易モジュラー型車椅子が介護保険には必要だと勧めていました。
使用した方からは喜ばれましたが、介護保険関係者からは「そんな機能はいらない。普通型で十分だ」と批判を受け、私は「介護業界の異端児」と呼ばれました。しかし10年も経てば、開閉式フットレストと跳ね上げ式アームレストの便利さが理解され、モジュラー型車椅子も普及しました。いまでは当たり前です。

「シーティング」も目新しい、必要ないと考える人がまだ大半ですが、あと10年もすれば車椅子の常識となり、障害児から高齢者まですべての人がシーティングによって二次障害を予防し、残存機能を発揮して、車椅子で快適に長時間過ごせるようになると確信しています。でも、この10年の間にどれだけ多くの人が不適切な車椅子で褥瘡や変形に苦しみ、寝かされきりになってしまうのでしょうか。一日も早く介護保険でもシーティングの活用が始まってほしいと切に願います。

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