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2020年7月公開
在宅で特に注意したい状況・症状への対応 ①感染による発熱に伴う脱水
編集
谷口英喜
恩賜財団済生会横浜市東部病院
患者支援センター長 周術期支援センター長
栄養部部長
最後に、在宅において特に注意したい状況や症状について少し詳しく紹介します。まずは、感染による発熱に伴う脱水についてです。
体温中枢は視床下部にあり、そこで設定されたセットポイントに深部体温を維持するよう、厳密に37.0℃にコントロールされています。その調整は「熱産生」と「熱放散」のバランスによって行われています(図1)。
ここに病原菌やウイルスの侵入が起こると、炎症細胞(マクロファージなど)がサイトカインを産生させて血管内皮細胞に作用し、プロスタグランジンが産生されることでこのセットポイントが上がり、生体は新しい体温設定まで体温を上げようとします。こうして発熱は起こります。
セットポイントまで体温が上昇すると、生体は末梢血管の拡張や発汗(熱放散)を促進して体温を下げようとするわけですが、このとき起こる発汗により、身体は通常以上の水分の喪失を起こします(不感蒸泄注)。
注:本来、呼吸や皮膚からの蒸発による“自分にはわからない水の喪失”を「不感蒸泄」という。発汗は感覚として自覚できるため通常は不感蒸泄に含まれないが、この項では説明上、不感蒸泄としてまとめて考えている。
図1 体温の調整
発熱時は生体の防御機構として水分を喪失します。
不感蒸泄の増加では、
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