2024年5月公開
Part4 排尿アセスメントのための排尿日誌と残尿量
谷口 珠実
山梨大学大学院総合研究部医学域
看護学系 看護学講座
看護学科長、教授
谷口 珠実
山梨大学大学院総合研究部医学域
看護学系 看護学講座
看護学科長、教授
排尿の記録用紙を用いて、排尿の時刻と排尿量、起床と就寝の時刻、失禁の有無と失禁量、自覚症状を記録して、1日の排尿の回数と排尿量を把握します(図1)。療養者または介護者の協力が得られる場合には、排尿量も測定してin-outを確認します。さらに、1週間ほど日誌をつけると、排尿している時間帯や排尿の間隔がつかめます。排尿の時間帯に合わせて排尿を誘導する際にも活用できます。
24時間パッドテスト:1日おむつ交換を行うたびに、「(排尿後のおむつ重量)−(排尿前のおむつ重量)=尿量」を測り1日合計量を計算します。
排尿日誌は、自排尿がある人では排尿時刻が記載できますが、おむつやパッドを使用していて、いつ排尿したかがわからない場合には、24時間の尿量として記載しておくことで、in-outのアセスメントに役立つ情報となります。おむつ交換を行った時間に排尿日誌に記載する場合には、おむつの排尿量を記載しますが、この場合の排尿回数は不明瞭です。
図1 排尿日誌の記載例
記入用紙は下記のWEBサイトからダウンロード可能。
一般社団法人日本排尿機能学会:ガイドライン・指針・声明文・排尿日誌・転載(2024年4月15日アクセス)
http://japanese-continence-society.kenkyuukai.jp/special/?id=15894
排尿量は、膀胱から出てきた量ですが、膀胱の収縮力が弱くなったり、膀胱の出口から尿道が圧迫されると、排尿後に膀胱内が空にならずに尿が残ることがあります。残尿が多ければ排尿(尿排出)障害です。残尿は、排尿直後に測る必要があるため、訪問看護に伺いタイミングよく排尿ができたらその直後に測定できるよう工夫します。残尿測定は、導尿による方法よりも簡易残尿測定器(超音波)が簡便です。徐々に安価な機器も販売されるようになっています。
基本的なアセスメントを理解したうえで、具体的な事例をもとに、上述のアセスメントを実践していきましょう。
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