2024年5月公開
Part8 在宅での排尿自立を促すアプローチ
谷口 珠実
山梨大学大学院総合研究部医学域
看護学系 看護学講座
看護学科長、教授
谷口 珠実
山梨大学大学院総合研究部医学域
看護学系 看護学講座
看護学科長、教授
1. 日中のトイレ移動のための移動動作の介助
2. 排泄用具の使用状況と利用の検討
3. 排尿誘導
在宅療養で排尿の自立を促すアプローチを行う際には、下部尿路機能障害の治療、環境調整、排尿動作の支援、排尿誘導などを組み合わせることが必要です。
下部尿路機能障害の専門医は泌尿器科医です。在宅で療養を診ている主治医は、泌尿器科に詳しい医師とは限らないため、頻尿や排尿困難がある場合には、主治医と相談し、泌尿器科医の治療を受けることを勧めます。
環境調整では、療養中の居室やベッドからトイレまでが近く、安全に移動できる手すりを整備し、足元の障害がないこと、また夜間は照明がつくことなどが必要です。トイレの移動ができない場合には、ベッドサイドにポータブルトイレを設置するか、尿器や差し込み式便器を用いることを検討します。尿意がある場合には、尿意の訴えにより、尿器を用いて排尿するという行為が、膀胱の蓄尿機能の維持になります。おむつやパッドを使用して放置すると、蓄尿機能や認知機能が低下するため適切な使用をこころがけましょう。
日中のトイレ移動のための移動動作の介助では、療養者の動きを介助することが大切です。介助者が持ち上げたり移動させたりするのではなく、できるだけ療養者の動きに合わせて、移乗することをこころがけましょう(COLUMN参照)。
在宅リハビリが利用できる場合には、理学療法士(PT)と相談してトイレ移動に必要な移乗動作の訓練を追加してもらうとよいでしょう。
日中はトイレ移動を行うことで身体の機能を維持するリハビリも重要ですが、夜間の頻尿の対応は必ずしもトイレ移動に限らず介護者の睡眠や身体への負担を軽減する方法を検討します。例えば、
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