2015/10/31
高齢者や障害のある方の日常生活を支援する福祉用具によって起こった事故の概要を、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が発表した。福祉用具として取り上げられているのは、介護ベッド、車椅子、電動車椅子、歩行器・歩行車などで、2010年度~2014年度の5年間に起こった147件についてまとめている(表1)。このうち55件(37.4%)が使い始めから1年未満に発生していることから、使用の際に使い方に習熟することが必要と報告書では述べられている。
福祉用具 | 被害件数 |
---|---|
介護ベッド | 62 |
電動車椅子 | 39 |
車椅子 | 6 |
手すり(床置き式手すり、壁取り付け手すり、手すり固定用金具) | 14 |
歩行車・歩行器 | 16 |
その他(杖、介護リフト、ポータブルトイレ等) | 10 |
合計 | 147 |
製品別の被害状況を見ると、「介護ベッド」による事故が最も多く62件(42.2%)、次いで「電動車椅子」39件(26.5%)、「歩行車・歩行器」16件(10.9%)と続く。
被害状況は、「死亡」が49件(33.3%)、「重傷」が51件(34.7%)も発生している。
事故の発生場所では、屋外事故64件(43.5%)、屋内事故99件(67.3%)で、屋内が多く、その内訳は自宅64件(43.5%)、介護施設等27件(18.4%)、病院8件(5.4%)となっている。特に高齢者の事故は家庭内において最も多く発生している。
主な事故事例は、以下のようなものである。
介護ベッドの隙間に頭や手足が挟まれてしまい、死亡・重傷などの重篤な事故が起こった。
電動車椅子で走行中、通路から用水路、河川などに転落・死亡した。あるいは、踏切内で電車に接触して死亡した。
原因別に見ると、製品に起因する事故が23件(15.6%)、製品に起因しない事故が80件(54.4%)となり、使用方法の不慣れによって多くの事故が起こっていることがわかる。
同機構では、主な事故を防止するために、表2のような防止策を提案している。
介護ベッドによる挟み込み事故の防止策 | 電動車椅子、車椅子、歩行車・歩行器による事故の防止策 |
---|---|
介護ベッドの隙間を確認する 製品の組み合わせが適切か確認する 介護ベッドの破損・変形、固定状況を確認する 介護ベッドの周囲を整頓する |
電動車椅子の使い始めには十分な練習を行うほか、講習会に参加する 使用中の注意 製品の使用時には点検を行う |
詳しくは、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)のWebサイトを参照
http://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2015fy/prs150917.html
■上記ニュースに関連したディアケアコンテンツをご覧いただけます。
×close
©DEARCARE Co., Ltd.