2016/03/25
2025年問題への対応が急速に進む中で、「病院から在宅へ」という動きが急加速しており、いまや病院内での「退院調整」機能はなくてはならないものとなっている。平成28年度診療報酬改定では、これまでの「退院調整加算」が廃止され、「退院支援加算(1~3)」が新設されることとなった。平均在院日数で評価する現行の退院調整加算では、院内に退院支援・退院調整の仕組構築まで及ばず、退院調整が形骸化されかねない。今回の退院支援加算では、従来の退院調整加算に基づいて施設基準を厳格化し、退院支援体制を評価する加算として注目されている。退院支援・退院調整の仕組が病院に根づくことによって、在院日数の短縮および地域包括ケアの推進につなげていくことが目的である。
退院支援加算の施設基準や算定要件には、退院支援の専従者を病棟に配置すること、多職種カンファレンスの実施や、院外の医療機関や老人介護施設との密な連携などの体制を整備することが記載され、退院後の生活も見据えた退院支援を目指していることがうかがえる。厚生労働省の調査でも、院外の医療機関や介護施設との連携が多いほど早期退院につながっていることが明らかになっている。これらの連携体制に対する評価「介護支援連携指導料及び退院時共同指導料」はプラス改定のため、大規模な総合病院など、配置人員を確保できる施設の対応が見込まれている。
(新)退院支援加算1
イ 一般病棟入院基本料等の場合 600 点(退院時1回)
ロ 療養病棟入院基本料等の場合 1,200 点(退院時1回)
[算定要件]
(1)患者が安心・納得して退院し、早期に住み慣れた地域で療養や生活を継続できるように、入院早期より退院困難な要因を有する者を抽出し、適切な退院先に適切な時期に退院できるよう、退院支援計画を立案し、当該計画に基づき退院した場合に算定する。
対象患者は、現行の退院調整加算の対象者に加え、連携する保険医療機関からの転院であって、転院前の保険医療機関において当該加算を算定した者(1度の転院に限る。)。
(2)現行の退院調整加算における退院調整に加え、以下の支援を行っていること。
①当該保険医療機関の退院支援職員が、他の保険医療機関や介護サービス事業所等に出向くなどして担当者と面会し、転院・退院体制に関する情報の共有等を行う。
②各病棟に専任で配置された退院支援職員が、病棟で原則として入院後3日以内に新規入院患者の把握及び退院困難な要因を有している患者の抽出を行う。
③退院困難な要因を有する患者について、原則として入院後7日以内(療養病棟等については 14日以内)に患者及び家族と病状や退院後の生活も含めた話し合いを行う。
④入院後7日以内に、病棟の看護師及び病棟に専任の退院支援職員並びに退院調整部門の看護師及び社会福祉士が共同してカンファレンスを行った上で退院調整に当たること。なお、カンファレンスに当たっては、必要に応じてその他の関係職種が参加すること。
[施設基準]
現行の退院調整加算の施設基準に加え、以下の基準を満たしていること。
(1)退院支援・地域連携業務に専従する看護師又は社会福祉士が、当該加算の算定対象となっている各病棟に専任で配置されていること。ただし、退院支援業務について、最大2病棟まで併任することが可能。
(2)20以上の保険医療機関又は介護サービス事業所等と転院・退院体制についてあらかじめ協議し、連携を図っていること。
(3)連携している保険医療機関又は介護サービス事業所等の職員と当該保険医療機関の退院支援・地域連携職員が、3回/年以上の頻度で面会し、転院・退院体制について情報の共有等を行っていること。
(4)当該保険医療機関における介護支援連携指導料の算定回数が、当該加算の算定対象病床100床当たり年間15回以上(療養病棟等については10回以上)であること。
(5)病棟の廊下等の見やすい場所に、患者及び家族から分かりやすいように、病棟に専任の退院支援職員及びその担当業務を掲示していること。
詳しい概要、算定要件、施設基準は下記の厚生労働省Webサイト参照
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000112306.pdf#page=103
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