2016/6/27創傷ケア
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特集:医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)を
どう防ぎ、どうケアするか
カテーテルやチューブ、酸素マスク、ギプスやシーネなどの医療関連機器によって起こる圧迫創傷に悩まされている医療従事者は多いだろう。
日本褥瘡学会では、一般によく使われる医療機器に抑制帯などの看護支援用具等も含めて「医療関連機器」と名付け、それによって起こる褥瘡を「医療関連機器圧迫創傷(Medical Device Related Pressure Ulcer:MDRPU)」として、その予防・治療・ケア方法の指針を作成した。同学会では、2011年にMDRPUへの取り組みをアクションプランとして掲げ、調査による実態把握のもとに、頻度の高いMDRPUに対する予防法・対応法をアルゴリズムに沿って示している。学会ワーキング委員会による検討を経て、全4回のコンセンサスシンポジウムによって学会員の合意形成を得、2016年5月、「ベストプラクティス 医療関連機器圧迫創傷の予防と管理」としてホームページ上で公開した。(現在、書籍としても発売中。)
医療関連機器圧迫創傷は、「医療関連機器による圧迫で生じる皮膚ないし下床の組織損傷であり、厳密には従来の褥瘡すなわち自重関連褥瘡(self load related pressure ulcer)と区別されるが、ともに圧迫創傷であり広い意味では褥瘡の範疇に属する。なお、尿道、消化管、気道等の粘膜に発生する創傷は含めない。」と定義される。
調査によると、全褥瘡の中で医療関連機器が発生に関与している割合は、病院6.4~50.0%、介護保険施設1.8~5.5%、訪問看護ステーション12.9%であった。
MDRPU発生頻度が高い医療関連機器は、一般病院では「ギプス、シーネ」「医療用弾性ストッキング」「気管内チューブ」の順、療養型病床を有する一般病院では「医療用弾性ストッキング」「NPPVマスク」「ギプス、シーネ」の順、大学病院では「医療用弾性ストッキング」「NPPVマスク」「手術用体位固定用具」の順、訪問看護ステーションでは「経ろう管チューブ」「経鼻酸素カニューレ」「ベッド柵」の順になっている(表)。
この指針では、原因となる医療関連機器別に、発生しやすい部位、予防、リスクアセスメント、機器選択時の予防法、機器装着時の予防法、装着中のケア、患者・家族へ指導する内容、医療安全の観点からの他職種連携について解説している。この指針の特徴は、共通する「予防・管理フローチャート」を示し、予防法・ケア方法のスタンダードを示していることだ。創傷・褥瘡関連部門だけでなく集中治療部門など幅広い領域で活用したい。
順位 | 一般病院 | 療養型病床を有する 一般病院 |
大学病院 | 訪問看護ステーション |
---|---|---|---|---|
1. | ギプス、シーネ | 医療用弾性ストッキング | 医療用弾性ストッキング | 経ろう管チューブ |
2. | 医療用弾性ストッキング | NPPVマスク | NPPVマスク | 経鼻酸素カニューレ |
3. | 気管内チューブ | ギプス、シーネ | 手術用体位固定用具 | ベッド柵 |
4. | NPPVマスク | 間欠的空気圧迫装置 | 気管内チューブ | 気管切開カニューレ |
5. | 下肢装具 | 酸素マスク・気管切開チューブの固定用ひも | ギプス、シーネ | 尿道留置用カテーテル |
6. | 弾性包帯 | 弾性包帯 | 間欠的空気圧迫装置 | 下肢装具 |
7. | 抑制帯 | 尿道留置用カテーテル | 弾性包帯 | 気管切開カニューレ固定具 |
8. | 上肢装具 | 血管留置カテーテル | 抑制帯 | 酸素マスク・気管切開チューブの固定用ひも |
9. | 自動血圧計マンシェット | 手術用体位固定用具 | 体幹装具 | 医療用弾性ストッキング |
10. | 間欠的空気圧迫装置 | 下肢装具 | 上肢装具 | 車いすのアームレスト・フットレスト |
参考元:ベストプラクティス 医療関連機器圧迫創傷の予防と管理
詳しくは、下記の日本褥瘡学会Webサイト参照
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